松山シネマルナティックでの『あるいは佐々木ユキ』の上映は、1月11日から18日までの8日間でしたが、その最終日18日に上映と福間監督の朗読とを組み合わせたイベントを行ないました。
松山へは、初めてのジェットスターに乗りました。窓から見えた富士山があまりにすばらしかったので、まずはこの写真からです!

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18日土曜日、ジェットスターは定刻より早く松山に到着。13時半ごろ松山市内に入った福間監督。松山と言えば、なにはさておき「ことり」の鍋やきうどんだ! すぐそばにあるシネマルナティックより先に「ことり」に直行しました。これが正解でした! 午後2時までの営業、売り切れ次第閉店の「ことり」。監督よりひと足遅く入ったお客さんまででおしまいだったのです。超ラッキーでした! 初挑戦したかった2食目は、残念ながら果たせずでしたが、「ことり」はやっぱりおいしい! もう1軒の老舗「アサヒ」より断然「ことり」びいきの福間監督です。

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身体も心もあたたまって、いざルナティックへ。2011年10月に『わたしたちの夏』を上映してもらって以来、2年3か月ぶりの橋本支配人との再会です。「ルナティックを守る会」の梶野さんとふたりで迎えてくださいました。東京から駆けつけてくれているはずの山﨑はなさんは? あちゃー、長距離バスの疲れが出てぶっ倒れておりました! すみません! お忙しいところを無理させてしまいました。ほんとうにありがとうございます。

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さて、ホテルで休憩をとり朗読の準備を整えた福間監督は、上映開始の1時間前に再びルナティックへ。18時ごろからぞくぞくといらしてくださるお客様と挨拶を交わしています。今回の上映に協力してくださった詩人の皆さんも大勢みえています。
18時30分、福間監督の挨拶のあと『あるいは佐々木ユキ』上映スタート。
ちょうど3年前のほぼ同じ時期に撮影されたので、冬の光も町ゆく人々の姿も風も樹々の色もすべてが、劇場の外にある松山の景色と重なるところがあります。きっと松山にも「佐々木ユキ」がいて、この映画の結びの場面のように、今年2014年に成人式を迎えたことでしょう。

上映が終わってからの休憩では、「守る会」スタッフの山下さんお手製のシフォンケーキとガレット(これ、めちゃおいしいのです!)、温かい飲みものが出されました。ひと息ついて朗読へ。うれしいですねえ。こんなすてきな時間を用意してくれるなんて。松山シネマルナティック健在だ! 

20時10分、福間監督の朗読開始。朗読はルナティック初めての試みです。
福間監督は、7篇の詩を解説をまじえながら読んでいきました。

まず劇中で使われた3篇から。
『あるいは佐々木ユキ』のキャッチコピーのひとつ「もっとしずかに あけてやらないと そのふた、獰猛になるよ」のフレーズの入った「光る斧」。
つづいて劇中で、ユキが思いを寄せている良平さんが朗読している「天使をすてる」。
この詩のなかに、女性郵便局員が登場するのですが、福間監督は「次作で郵便局員を使いたいと思っている」と補足しました。
そして朔太郎賞を受賞した詩集『青い家』の表題作「青い家」。これは、ユキのアパートの廊下から見える夕陽のシーンから100年後の未来へのシーンで使われていて、大川由美子さんのピアノとともにユキの孤独で透明な心に寄りそうように効果を上げています。

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次は、朔太郎の撮った写真にインスパイアされて作った「彼の撮った写真」。朔太郎の心を訴えるように書いたそうです。
それから「八月、何も隠れていない」「もうすぐ春ですね」「三月の扱いにくい要素」の三篇。『あるいは佐々木ユキ』の編集は、3.11以降の時間を感じながら行なったわけだけれど、2012年の8月に『わたしたちの夏』を仙台で上映したのちに、被災地のことを思いながら書いた三作だと福間監督は説明しました。

6篇目は、ツイッターで発表した「グズグズしているうちに」。そう、あのグズラが出てくる作品です。
そして最後は、雑誌に発表した最新作の「きょうもぼくは転落して」。昨年11月にニューヨーク大学で『あるいは佐々木ユキ』の上映と朗読を行なったのですが、35年ぶりに行ったNYを体験して書いた作品です。

客席から大きな拍手をいただいて、福間監督は朗読を終えました。後半に向かってぐんぐん調子がのぼっていったようですね。
壇上に山﨑はなさんが登場して、福間監督と少しのトークです。

「福間監督の朗読、昔と声が変わりませんね」とはなさん。はなさんとは、福間監督の長篇第1作95年の『急にたどりついてしまう』以来のおつきあいです。当時はなさんが支配人をしていた浜松ムーンライト劇場で、やはり上映と朗読のイベントをしてもらったのです。
福間「劇中でも使ってる91年に出したカセットテープ詩集のときと、あまり変わってないんだよね」と、ちょっとうれしそうです。

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はな「『わたしたちの夏』のときに、次は小原早織さんでいこうと決めていたのですか?」。
福間「『夏』のあと、撮影の鈴木一博さんと、もう少し撮れるんじゃないかと話してたんですよ。批評家の四方田犬彦が自著のなかで、目が見えなくなる前に観ておきたい10本の映画をあげていたんだけど、芸術映画とかでなく、セクシーな女優さんの若いときの作品ばかりなんですよね。で、僕もそういうときのために自分で1本撮っておくかと……」。
はな「福間健二の会心のアイドル映画ではないかと思うんですけど、若い女の子をどう撮るかってむずかしいですよね。どうやって小原さんの魅力を引き出したんですか?」。
福間「まず物語があるのではなくて、素の小原早織にできることは何かと考えていったんです。予告編ではなく特報は、小原早織のスタート直前の顔を集めたものですけど、それが描ければいいと思ってたんです」。
はな「公開からちょうど一年ですけど、やはり冬に見るのはいいですね。前2作はどちらも夏でしたね」。
福間「夏の光は真上から、冬の光は低い位置から差し込んできてまったくちがうんですよね。それをねらいました」。
はな「そういうことをきちんと考えてるんですね」。
福間「いや、教師をやってるときは夏休みと冬休みに撮るしかなかったからでもあるんだけど……」。
はな「福間監督は、映画のなかで自由にやっていて、いますごくいい生き方をされてると思うんですけど、これからをどのように考えていますか?」。
福間「じつはいまiPadに凝っていて、Kindle詩集、電子書籍で詩集を二つ来月出す予定なんです。写真家の宮本隆司さんの作品をたくさん使わせてもらうんですけど。
映画の方は、今年中に撮りたいです。僕の場合、客に受ける映画にはならないかもしれないけど、見る人の心にもっと訴える映画を考えています。また松山でみなさんに見てもらいたいですね」。
熱い拍手を受けて、上映と朗読とトークは終了しました。

寒い夜、長時間にわたっておつきあいくださった松山の皆さん、また今治や遠方からいらしてくださった方々、ほんとうにありがとうございました。
ロビーで、それぞれの感想を伝えてもらって、福間監督はニコニコしっぱなしです。松山、やっぱり好きですね!

橋本さん、はなさん、梶野さん、そしてルナティックを守る会の皆さん、お世話になりました。これからもどうぞよろしくお願いいたします!

打ち上げ、盛り上がりましたね! 橋本さんお薦めのお魚のおいしい飲み屋さん。ぎゅうぎゅう詰めあって、熱く映画を・詩を語りあって、松山の夜は更けてゆきました。


宣伝スタッフ ことりちゃん