9月14日(土)、『あるいは佐々木ユキ』は横浜のシネマ・ジャック&ベティでの初日を迎えました。関東では、5月のシネマテークたかさき以来、約四か月ぶりの上映です。冬の映画『あるいは佐々木ユキ』が、暑い夏をこえて、どんなふうに観客のみなさんに受けとめてもらえるか、興味津々です。
ジャック&ベティでは、『岡山の娘』と『わたしたちの夏』も上映してもらいました。
もともと、横浜は福間健二監督のお気に入りの場所。とくにジャック&ベティのある若葉町・黄金町界隈の、なつかしく、ちょっと寂れて、ちょっと危ないような雰囲気に、とても惹かれているようです。

まず、10時30分からの回。
上映後、副支配人の小林良夫さんの紹介で、福間監督とユキbを演じた川野真樹子さんが舞台挨拶に登場しました。

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「みなさん、朝はやくから駆けつけていただき、ありがとうございました。『あるいは佐々木ユキ』は、2011年の冬に撮影しました。最後のモノレールの景色を撮ったのが3月4日。その一週間後に3・11がおこるわけですが、あのモノレールが進んでいく先に3・11以後の日本がある。そんなふうに作ったつもりです」と福間監督。
そしてこんなふうに続けました。
「映画は、フィクションで作っていることとは別に、そのときの風景を記録しています。あとで行ってみるとなくなっているものがちゃんと写っている。ある意味では、人もそうですね。川野さん、映画のなかの自分を見てどう感じますか?」
「まだ子どもだったかな、という感じです。『わたしたちの夏』につづいて、この作品に出ることになって、大きな役だし、夢中だったんです」と川野さん。
「冬で、とにかく外の撮影は寒かったよね」
「寒かったです。ユキbは薄着だったのでなおさらです」
「ユキbは、どういう存在なのか謎めいていますが、不幸な環境にいて逃げるように出てきたということで、コートとかは着せなかったんです」

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そのあと、ロケ撮影をどんなふうにおこなったかという話に。福間監督は、毎度のことですが、鈴木一博カメラマンにいかに助けられたかを語りました。もちろん、仕上げ段階での編集の秦岳志さん、音響設計の小川武さんの貢献ぶりについても。
川野さんは、印象に残っている場面として、まず、ユキとのカルタのシーンをあげました。それから、クリスマスのイルミネーションの残る夜の立川の街を歩いたシーンだそうです。

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挨拶トークのあと、二人はロビーでパンフレットにサインをしながら、熱心な観客のみなさんと交流の時間をもちました。福間監督が毎朝書いているツイッターの詩を楽しみにしているという方もいました。
川野真樹子さんは、いま、首都大学東京の大学院にすすみ、目下の研究テーマは「映画と演劇における身体表現」だそうです。
福間監督は、このあとは、もっと広がりのある作品、物語がストレートに流れる作品も撮ってみたいと話していました。

福間監督は、川野さんや見に来てくれた大学院時代の友人と昼食をとったあと、劇場に戻って、パク・チャヌク監督の『イノセント・ガーデン』を見ました。
そのあと、遊びに来てくれたダーティ工藤監督と劇場のまわりの「ディープな横浜」を探索したとのこと。ちょうどこの日、若葉町は日枝神社のお祭りで、工藤監督はその行列を「もしかしたら次の作品に使える」とカメラに収めました。その前に、ジャック&ベティで福間監督の「友情出演」のワンショットも撮影したそうです。

夜の回は、20時25分からの上映。
上映前に福間監督が挨拶をしました。
「みなさん、ほんとうによく来てくれました。『あるいは佐々木ユキ』は、前作の『わたしたちの夏』の仕上げがすんでない段階で、どうしても撮りたくなって撮った作品なんです」とこの作品への思いを語りました。

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途中からダーティ工藤監督も壇にあがってくれました。
二人がともに尊敬する故石井輝男監督の話も出て、「映画は、とにかく作りつづけることが大事」と工藤監督。
「ぼくの映画は、どこかで石井さんのようなB級映画も意識している。ずっと90分だったけど、今回は79分にまで詰めた。ダンスあり、インタビューあり、朗読ありと、いろんなものがそのなかに入っています」と福間監督。

この日の二回上映。数字的には、いささかさびしいスタートとなりました。
でも、さっそくツイッターにうれしい反応が次々に出ています。
『あるいは佐々木ユキ』は、確かに見る人が自分の心と対話するみたいに感想を言いたくなる映画なのです。
横浜での上映は、20日(金)まで。
16日からは20時25分からの一回上映となります。
みなさん、劇場に足を運んでください。まわりの人に宣伝してください。
どうぞ、よろしく!

宣伝スタッフ 若葉メリー
写真撮影   小林良夫