2月1日金曜日、ポレポレ東中野での『あるいは佐々木ユキ』上映は、ついに最終日を迎えました。朝からあたたかい陽気、その上今日は「映画の日」ときてるから、まさに映画日和の最終日です。
映画をつくってきて、公開して、一番緊張するのは、なんといっても公開初日と最終日です。福間監督も朝から落ち着かない様子。

午前の回、予告篇が始まってからも駆けつけてくださる方がぞくぞくの盛況に、福間監督はだいぶ落ちついたようです。上映後に、みなさんにお礼の挨拶をしました。
そして昼間は、他館で映画を2本はしごして、例によってアクア東中野。すっかりリラックスしたようです!

さて、夜、ポレポレ最後の上映です。
9時を過ぎても、ポレポレのあの階段を駆け下りてくる音がやみません。またドキドキしてきました。始まりから見られますように! と祈るような気持ちです。
場内はすでに補助席も出て満員御礼で、上映が始まりました。

1

22時30分、上映は終わり、福間監督と主演の小原早織さんが挨拶に登壇しました。
福間監督「最終回を満員にしていただき、ものすごく幸福な気分です。ぎりぎり間に合った人、二度目、三度目と足を運んでくれた人。みなさんに感謝します」。
小原早織さん「見に来ていただき、ほんとうにありがとうございます」。
福間監督は、感慨深げに話します。
「いままでで、いちばん短期間で撮り、いちばん仕上げに時間がかかった作品。2年前に撮影したものを、いまにどう通じさせるか。悩みました。
でも、ここにいる小原早織さんがしっかりやってくれ、鈴木一博カメラマンがしっかりと撮影してくれた素材があり、その上に編集の秦岳志さんと音響設計の小川武のきちんとした仕事がありました。結果として、この作品に関わったみんなの力が活きるように、いいかたちにできあがっていきました。
何をやったといえるのか。自分でもよくわからないけど、いまの日本の文化の、これでいいとされているものに、そうじゃないんじゃないかというものを、すこしは出せた気がしています。
人間も、表現も、変わっていかなくてはならない。その思いを、小原早織さんの演じたユキと作品『あるいは佐々木ユキ』として出そうとしたのです」。
そして小原早織さんです。
「『あるいは佐々木ユキ』は、物語も主題もこうだとはっきりと見えるものじゃないけど、ここからなにかを感じとってもらえたらうれしいです」。

2

ここで、ポレポレ東中野のスタッフ小原治さんから小原早織さんに花束が!
「ユキの夢のなかに登場するお兄さんを演じているのは、実は、この小原治さんです!」と福間監督。
満席の場内からは、どよめきと拍手。オハラとコハラ、読み方はちがうけど、おなじ「小原」の兄妹が、ここでついに再会しました!
「いまはもう誰も探してません」のユキの前に、「兄」がこのように登場。人間は生きていれば、出会えるものかもしれません。

3

最後に福間監督。
「このあと、『あるいは佐々木ユキ』は地方をまわります。東京での再映も考えています。さらに応援、どうぞよろしく! ありがとうございました」。
小原早織さんも深くお辞儀をして、大拍手に包まれました。

長かったような、あっという間にすぎたような1月12日からの3週間。大雪とそのあとにつづく寒さには、いささかうちのめされましたが、それを支えてくれたのは、観てくださった方の「心と身体で受けとめてくれた」言葉でした。たくさんの方からの、感性にうったえるそれらの言葉、いつまでも大切にしたいです。
みなさん、ほんとうにありがとうございました。

『あるいは佐々木ユキ』は、これから日本の各地に、世界に、旅に出ます。
どんな景色を見て、どんな風を受け、どんな人に出会うのでしょう。
もうすこし歩いて もうすこしへんになってみる
お会いできるのを楽しみにしています!

2月15日からは、神戸映画資料館での福間健二監督作品集が始まります。
『あるいは佐々木ユキ』と過去の3作品上映の、貴重なこの機会に、福間健二という監督をどうぞ味わってください。
http://kobe-eiga.net/program/2013/02/


宣伝スタッフ:ぶー子
写真撮影:加瀬修一