1月24日木曜日。ようやく雪がとけてきましたね。
今夜のトークゲストは、いま、文筆に女優にイベントに大活躍の森下くるみさんです。
福間監督の前作『わたしたちの夏』のアップリンクでの再映のときに、念願のゲストとして初めて登場していただいて以来の再会です。今日も着物姿のくるみさん。淡い朱色がとても似合っていて、まぶしいほどにうつくしいです!
上映後、福間監督とくるみさんが登壇。監督は「ぼくが一番会いたかった人」とくるみさんを紹介して、二人のトークは始まりました。

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福間監督が「スクリーンで観てもらうのは初めてだと思うけど、どうでしたか」と、くるみさんに感想を求めます。
「『わたしたちの夏』とは毛色がちがいますね。『あるいは佐々木ユキ』はかわいい映画というか、画面のいろんなものに目がいくんですよね」。
福間監督「冬の光の中の、冬の妖精たちを撮ったということになるかな」。
くるみさん「A Fairy Taleですよね。妖精はティンカーベルのように羽のはえた姿しか空想してなかったけど……。童話やファンタジーというようにカテゴライズしたくないですが、人間として異次元の人が映っているようなところ、たとえば気功の人とユキのやりとりとか、よかったですね」。
福間監督は、『あるいは佐々木ユキ』の大まかな筋立ては、キャスト・スタッフの学生たちといろんな意見を交わしながら出来上がっていったことを説明しました。
するとくるみさんは「ディスカッションのなかでストーリーが決まっていって、それが演出で変わってくるんですか?」と質問。
福間監督「ゴールは見えてなくて、たとえばユキが明太子を食べるところなどは、小原早織さんの食べ方そのものが出てるわけだけど、それを直したりはしないわけです」
くるみさん「そうですよね。決められたことをやるだけだと、印象が薄いですね」。

このあたりから、映画の細部へのくるみさんの洞察が興味深く展開されていきます。
「二人のカルタのシーンは、カルタの素朴な言葉を聞く感じになって、あらためてカルタってかわいい遊びなんだなと思った。あのワンカットは、ユキふたりの戸惑いが見えてきて、すごく楽しかった。モノレールのシーンも印象的ですが、移動するものに意味があるのですか?」と質問。
「モノレールの動きは、直線ではなく蛇行するのが面白い。それと高い位置にあるから景色がちがう。すると時空を超える感じが出てきて、千石先生の回想のところや最後の景色なんか、過去や未来を感じさせてしまうような……。編集で画をずっと見てると、そうなってきて、それが観る人にも伝わるのではないかと」と福間監督。
「高い位置から見ると、ふだんは感じてないけど、空の光が神々しいですね」とくるみさん。

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さらに、くるみさん。
「赤い部屋の中の壁にレコードジャケットが貼られているなかに、キリング・ジョークのジャケットがあって! わたし大好きなんです!」。
「あれはぼくの好きなLPのジャケットを持ってきて貼ったんだけど、えー!!くるみさんも好きなんだ!」と福間監督大喜び。
もっと、くるみさんです!
「ユキが寝間着にしているTシャツの柄、子どもが銃をかまえてるんだけど、これは反抗精神?」
エッ、こんなこと訊かれたことない! という顔の福間監督、客席にいるユキ役の小原早織さんに尋ねました。
「ただのTシャツでーす」の小原さんの返事には客席から笑いが出ました。

そうなんですねえ。衣裳も美術もいないような福間映画の小道具や空間は、なにか意味があるように見えても、じつは監督が計算してのことではなかったりする。スタッフやキャストが無意識のうちに選んだものが、ちゃんと映画のなかの役割を果たしてくれている。すこし飛躍があるかもしれないけれど、そんなふうにも思えてきます。
「空間の使い方は映画をつくる醍醐味ですよね」とくるみさんが言うと、「ほんとうにスタッフ・キャストに助けられてるんですよね」と福間監督は感慨深そうに言いました。

そこですかさず福間監督、爆弾発言です。
「森下さんに僕の映画に出てもらいたいけど、どうですか?」
「躊躇なく、やりたいとお返事します。でも……福間さんの映画の女性は、自分のあり方が、しゃべり方、立ち姿が出てしまうコワさがあるから……」
ここぞとばかりに福間監督は押します。 
「森下さんが入ってくれれば、それで変わる! 監督の世界が変わってくる! 自主映画を突き破る何かが生まれてくる! さっきの言葉、うれしくて……」。
監督、くるみさんの後半の戸惑いを聞いてませんね!
「うれしくて眠れないかも」とほとんどうれし泣きの様相です。

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「ところで、くるみさんの楽しい一日の過ごし方は?」と福間監督はニコニコ顔でたずねました。
「映画を観て、すごくよかったり、驚いたりすると、いい一日だったなあって思いますね。ほかには、ごはん作ることかな。人と会ってお酒飲めたらさらにいい」。
「映画が好きなんだなあ。僕は映画が好きな人とやっていきたいんだよねえ」とまだつづく(?)福間監督のくるみさんへのオファーです。
どうやらそれは、お酒の席に移ってからもつづいた? きっとそうですよね。
福間監督作品のなかのくるみさん。もうドキドキしますね。早く見せてください!

トークの終わりに福間監督は「まだまだ寒い日が続くけど、今日観てくれた人は、もう一度、そして人を誘って『ユキ』をよろしくお願いします!」と頭を下げました。
森下くるみさん、ほんとうにありがとうございました!

今夜は、前田弘二監督作品になくてはならない役者の宇野祥平さんがいらしてくださっていて、打ち上げは終電ぎりぎりまで盛り上がりました!

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『あるいは佐々木ユキ』の上映は2月1日(金)までです。
追加のイベントも2回あります。

1月27日(日)21時の回は、福間監督の朗読が映画へと誘います。1回限りのスペシャルイベント。監督自身の声と言葉から入っていく『あるいは佐々木ユキ』。またちがう表情がきっと見えてくるはず。ぜひとも立ち会ってください!

そして1月29日(火)21時の回上映後は、主演の小原早織さんと福間監督のトークです。とんでもない撮影エピソードが出てくること必至。のがせませんね!
みなさん、どうぞポレポレ東中野にいらしてください。


宣伝スタッフ:ぶー子
写真撮影:酒井豪