あるいは佐々木ユキ 公式blog

A Fairy Tale
福間健二監督作品  2013年/HD/カラー/79分

表紙15

4月19日金曜日、アップリンクでの2週間にわたる上映も、最後の日を迎えました。予想だにせぬ、冬のような寒い夜です。今日は、不思議なタイミングで(?)、あの大木裕之監督も来てくれました。

上映後、福間監督と、ぎりぎり間に合って到着した小原早織さんは、お礼の挨拶に立ちました。
「アップリンクでの2週間、ぼくの映画をみてくださったみなさんに、ほんとうに感謝します。ぼくの作品は、なかなか受け入れてもらえないところもあって、上映にはいつも苦労してるんですけど、ひとりひとりがきちんと受けとめてくれて、それぞれの言葉で感想をもらえて、ありがとうを言いたいです」と福間監督は、上映の終わりを、ちょっと名残惜しそうに言いました。
小原早織さんは、今年3月に大学を卒業して4月1日から働き始めたばかり。早くも今日、残業をこなして職場から駆けつけたところでした。
「学生のときにはわからなかった、毎日働いてる人が映画をみる時間をつくるってことがどんなに大変か、社会人になってまだ日が浅いですけど、すごく実感しています。だから、こうして来てくださっている方に、ほんとにありがたいなあって、改めて思いますね」と、小原さんはしみじみと言います。

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「この映画で、小原早織人気がどんどん高まったけど、先日も『三銃士』トークのときに出た「芝居しない」というの、ぼくの映画以外もそうだったの?」と福間監督から、いまさら(?)の質問です。
小原さんは、中学・高校時代にテレビドラマなどに出たことがあるのです。
「そんなことないですよ。スタジオの、しーんとしてピリピリした空気の中で、もう何も聞こえないぐらいの緊張が来て、どうにもならなかった、なんてことばかりでしたよ。福間監督は「普通にしてていい」だったから、気がラクだったし、『わたしたちの夏』も『ユキ』もスタッフがほとんど同じだったから、余計に。まわりの音も、自然にそのまま聞こえてるから、より普通でいられたって感じですね」と小原さん。
「へー、そうだったんだ」と福間監督も初めて聞く小原さんのエピソードが出ました。
福間・小原コンビが生みだす「普通」に、これからも期待したいですね!

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今日は少々センチメンタルな雰囲気の、監督と主演女優でしたが、福間監督は最後にこう締めくくりました。
「映画をつくり続けること、見てもらうことが、大変な時代ではあるけれど、ぼくはあきらめない。あきらめられない自分を大事に、これからもつくり続けていきます。どうかみなさん、よろしくお願いします!」。

『あるいは佐々木ユキ』を初めて見てくださった方、旧作とともに見てくださった方、何度も見てくださった方、うれしい感想をくださった方、そして、アップリンクのスタッフのみなさん、ほんとうにありがとうございました。
『あるいは佐々木ユキ』は、高崎、大阪と旅をつづけます。
あちこちでの出会いを夢みて、もうすこし歩いていきます。
これからも、どうか応援してくださいね!


宣伝スタッフ ぶー子
写真撮影  加瀬修一






アップリンクでの『あるいは佐々木ユキ』上映も、終盤を迎えました。
4月17日(水)のトークゲストは福崎星良(ふくざき・せーら)さん。今年2月に開催された第5回恵比寿映像祭で、唯一の学生作品として彼女の『Come Wander With Me』が選ばれて、大きな話題になりました。
星良さんは、小さいころからインドへたびたび長期滞在し、高校時代にアメリカ、カナダのアートスクールに留学して、4年近くを海外で生活したという経験の持ち主です。帰国してからは、早稲田大学川口芸術学校に進み、この3月卒業したばかり。イラスト、ポスターデザイン、ビデオアート、ミュージックビデオ、映画、アニメーション、ドキュメンタリー、写真など、その活動はジャンルを超えて幅広い表現をめざしている24歳のすてきな女性です。
今日のトークは、恵比寿映像祭よりも早くにアップリンクでの『Come Wander With Me』の上映を手がけた藤井裕子支配人が、福間監督と星良さんの「ある共通性」にかねてから着眼していたことが、実現への運びとなりました。

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トークは、星良さんの『あるいは佐々木ユキ』への感想から始まりました。
「『青い家』の詩が朗読されるくだりで、涙が出ました。ユキと同じような気持ちを、自分も抱えているのだと。この映画は、女の子の女性的な映画であると同時に、福間監督の目線が包みこむ男性的な映画でもあると思うんです。大人が見ている、まわりがあたたかいなあと」。
「あそこの詩の流れるシーンは、ユキのかなわない恋や孤独な気持ちが表面的には見えていないけれど、この世界には悲しいことがある、そういう表現にしたくて、あとからこの朗読を入れたらぴったり合ったんです」と福間監督。
「福間監督は、ユキや他の役者たちと話しながら進めていくとか、現場にあったものをとっさに使うとかということですが、それ、いいなあと思う。『ユキ』のなかで、女の子が遊んでる感じがあちこちにあって、でもそれだけではなくて、少女と大人の両方が存在してる。遠くにあるけどじつはそこにある、はっきり見えないけど暗闇の中にある、そういうところがいいです」。星良さんの声は、やさしくて、とても落ちついています。

福間監督「ぼくの映画は、星良さんの作品に比べたらふつうの劇映画だとも思う。劇映画にあこがれた自分があって、そこから抜けられない気持ちと、もっと自由にやっていい気持ちに引き裂かれている。表現はひとつのトーンで統一されているより、グラデーションが起こっている方がいいと思うんだよね」。
「詩を書くときと似てるんですか?」と星良さんの、勘のいい質問です。
「だんだんそうなってきている。なぜ詩なのか、なぜ映画なのか。きちっと描写すること以上に何ができるのか。詩は、物語を暗示する。民話や童話はきちんとかかれていなかったりするけど、それでいいんじゃないかと。映画を編集する過程は、詩の推敲と変わらないかな……」と福間監督。
「詩を読んだあとのような印象があります。映画的であったり、詩の未知数なところであったり。日常のリアリズムと、映画のリアリズムと、詩のリアリズムがある。その自由さにあこがれるところもあります。劇映画の現場に2か月いたのですが、すごいなあ、素晴らしいなあと思う反面、やっぱり自分はホームムービーもやりたいと引き裂かれたり……。『ユキ』はその中間にあるのかな」と星良さん。

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星良さんの作品を見せてもらって刺激を受けた福間監督は、ツイッターでこう言っています。
「福崎星良監督の55分の作品『Come Wander With Me』と13分の作品『Neon Lights』。宇宙があって、世界があって、リアルとファンタジックの両面をもつ東京があって、人それぞれの生きている場所がつながりあっているなかに、生きることへの問いかけがある。星良さんの作品を見て、まず思ったのは、自由にやるっていろんなやり方があるんだってこと。ぼくたちが、ひとりで生きているわけじゃないと同時に、国や言語の枠に縛られることはないということ。そして、ジョナス・メカスを視野に入れたところから、もう一回映画を考え直してみようということ。」

星良さんは言います。
「『Come Wander With Me』では、自分で自分のことを語っていたり、人にセリフを渡して自分になってもらったりと、何人もの自分を登場させています。ユキが『佐々木ユキです』と3回言うところ、自分を確かめる以上に、ユキが何人もいるようなところが、似ていてびっくりした。ユキがわたしでもあったり、あの子でもあったり、bでも、ブタでもあったりする。孤児ならよかった、もふくめて、監督は女の子のことがなんでわかってるんだろう? 若い女の子をよく観察してるのかな……」。
すると福間監督は「観察してないんです。自分が若いときと変わってないからかな。ぼくは若いときから親の存在について疑問があったから、孤児だったらよかったのに、と思ってるところがあった。自分にもし子どもがいたら、子どもが18歳になったら100万円あげて放り出せばいいと思ってる」。

星良さんは『ユキ』のことを、「お砂糖菓子の時代」というタイトルで自分のブログに掲載してくれています。
一部を引用させてもらいますね。
——女の子の少女期のころ、あるいはもっとあとの、チョウチョの羽がまだ羽化したばっかりの、まだ模様も色もハッキリしてないし、でもひらひらちゃんと舞う事が出来る、あのうす白い感じ、というのでしょうか、ゆらゆらしていて透き通っているのに、向こう側が見えるようで見えないような、ナイフを背中でかくして研ぎながら、もう大人の世界も知ってるんだけど、処女性も、母性も同時に内在している時期。世界と自分の隙間を真っ正面から眺めてる、そんな時代の淡くて、「永遠のあこがれ」の時代。——

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「わたしは八王子が実家なので、あのあたりのふんわりした景色がなつかしかったです。クレジットに撮影日が出ていましたが、震災前に撮影したんですね。震災後に構成もしたんですか?」と星良さん。
「モノレールからの景色だけの部分は震災の1週間前に撮った。編集は、前作の『わたしたちの夏』も『ユキ』も震災後なんだけど、モノレールにかぶせて千石先生が過去を語り、ラストでモノレールから見える空の光、これは過去から未来、つまり3.11以後へとつづくものだと、編集の過程で自分で思ったんですね。映画は撮ったあとも表現がつづいている」と福間監督。
「震災後、メッセージ性の多い作品がたくさん出てるけど、『ユキ』はメッセージ性がないのがよかった。『Come Wander With Me』は、3.11のあとに撮ったんだけど、帰国子女や外国人の友だちは日本を離れるし、全部揺らいで、プライベートなことでも揺らいで、どうしたらいいかわからなかったけど、とりあえずカメラを回した」と星良さん。それがあんなに素晴らしい作品になったのですね。

あっという間に、トークも終わりの時間を過ぎています。
星良さんの話、もっと聞かせてもらいたかったです!
大学を卒業したけど、就職できなかった星良さんは、「日本をあまり旅したことがないので、しばらく北陸をバックパッカーでまわる」そうです。次の作品の糸口をきっと見つけてくることでしょう。

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星良さんと福間監督。年齢差は40歳もありますが、自分の表現の自由さと幅を求めてやまない気持ちはとても近いものがあります。これからもお互いを刺激するような挑戦をしていってほしいですね。
福崎星良さん、今日はほんとうにありがとうございました!


福崎星良さんの作品と予告篇は以下から見ることができます。
http://www.facebook.com/l/3AQHRPybiAQEk7oIwcXQJ3tifvQeiwN-6EVAAnivAzapZ-g/https%3A%2F%2Fvimeo.com%2Fuser1964706%2Fvideos

http://www.facebook.com/l/-AQHfjCtHAQHlyi0KNMwWwyQacCFVEV-QCm4UzcGWK0wXUA/www.youtube.com/watch?v=mSaLb4aXHC4


宣伝スタッフ ぶー子
写真撮影   加瀬修一




4月13日土曜日、今日のトークゲストは、お待ちかね「福間映画三銃士」と小原早織さんです。
福間監督の映画では、映画づくりで一番大事な撮影と編集と音が、とりわけ大きなカギをにぎっています。それらを支える三人を称して「福間映画三銃士」と独断で名づけちゃいました。
撮影の鈴木一博さん、編集の秦岳志さん、音響設計の小川武さん。ご三方ともに、映画の世界での活躍ぶりは周知のとおりで、福間監督にとっては大先輩のみなさんです。
「三銃士」のおかげで前作『わたしたちの夏』も『あるいは佐々木ユキ』も生まれたと言っても過言ではありません。
そして、本作主演の小原早織さん。『わたしたちの夏』のサキ役から、彼女もまた「福間映画」を支える大きな存在です。

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さて、今日は名古屋シネマテークでの上映の初日でもあるので、福間監督は名古屋に行っています。監督不在のアップリンクトーク。
ゲストの4人は、それぞれ自己紹介をしてから、「欠席裁判」的に「悪口を言ってもいい」をテーマに(!)、編集の秦さんが司会進行をつとめるかたちでトークは始まりました。
(今日のトークは、福間映画を解く上で貴重な記録となると考えて、トーク内容のほぼすべてを掲載しています。鼎談形式で、すこし長いですが、面白がりながら読んでくださいね。4人のゲストの敬称は略しました)。

 福間映画に関わる

 福間さんの映画は、決してギャラがいいとは言えないわけですが、みなさんそれぞれどういう経緯で関わることになったのでしょうか。小原さんと私は、じつは福間先生の教え子であったということがきっかけでもあるんです。
まず、イッパク(一博)さんは、どうだったんですか。
鈴木 同じ町に住んでて、飲んだときに、ぼくが撮りますって言っちゃった……。
小原 あと何本ぐらい撮る約束なんですか?
鈴木 あと、3本ぐらいかな……。
小原 あれ、7本じゃないんですか?(笑)
 前の作品も観てたんですか。
鈴木 観てましたよ。
 じゃあ、これは行ける、という感じで?
鈴木 いや……まあ、スケジュールも空いてたんで(笑)。
 小川さんは、私が引き込んだということもあるんです。『わたしたちの夏』のときに、音のことで困って、小川さんにお願いしたという経緯です。
小川 ぼくは、福間監督のことは知らなかったんですが、秦さんにやってみないかと言われて……。最初に、渡された素材を見たとき、正直、びっくりしましたね!(苦笑)。先日の山田真歩さんゲストのときに彼女が「全部バラバラだ」と言ったという話を聞いたんですけど、ぼくの最初の印象もそれに近いというか。この映画はどことどこがつながってて、何と何をつなげれば成立するんだろうって……。謎解きというか、自分なりの解釈をして、いまある断片の豊かなイメージを音でつなげていく、ひとつの作品としてまとめていくということを考えた。あの作品では、水というテーマなのかなあとか考えて、音を構成していきました。
 小川さんの提案で、前に進んだことって、じつは多いんですよね。今回の『佐々木ユキ』でもそうですし。ふつう映画は、編集で定尺を出して、音の処理をお願いするかたちで動くんですけど、小川さんにお願いしたら、提案が出て、編集が変わっていくという……。
小川 商業映画と違って、こういう低予算の自主映画の、最もいいところっていうのは、いろいろ話し合いながら、フレキシブルに作品を変えていくことができることなんです。それは、すごくいいことだと思うんですよね。一般の映画は、監督と編集が決めていて、そこから動かすことはほとんどないんですよ。音楽の長さを5秒ぐらい変えるとかしかありえないので……。変えることは、いけないって言われてるんですよね。
 ふだんやってる商業映画のフラストレーションみたいな……。
小川 まあ、やっぱりそれはありますね。
小原 秦さんもありますか?
 私は、ふだんはドキュメンタリーなので、あまりそういうことはないんですが、やはり劇映画とドキュメンタリーとの違いはありますね。ドキュメンタリーって、もともとの時間がつながってるんで、そこのいいとこだけをつまんでいけば、時間がつながってなんとなく映画になっちゃうんです。でも、劇映画だと、カットバックしたりとかがあるので、最初からかなり厳密に時間をつくっていかないといけないというのがよくわかって、いい勉強になりましたね。
小原 たとえばどのシーンが一番気を遣ったとかありますか?
 うーん、たとえば……、前作ですが、サキが千景さんのお店で会うところ、二人の間にある微妙な空気を出したいのに、二人の時間がつながってないし……、あれは1フレームのタイミングで違ったものになるというのはありましたね。初めての劇映画でもあったし……。

 撮影の現場

 ところで、撮影の現場ってどうだったんですか? けっこう自由なんですか?
鈴木 いちおうまあ、台本というかプロットはあるんで、それに沿ってというか……。
小原 わたしの印象としては、いちおうプロットはあるんですけど、カメラのアングルとか決めるのは全部イッパクさんだったという感じがしたですね。
鈴木 いや、そんなことはない……。
小原 そうですか。監督は、立ってて、イッパクさんがカメラをあれこれいろいろ一生懸命やってて、こんな感じなんですけどって言うと、監督はじゃあそれでいこう、みたいなやりとりをいっぱい見たなという記憶があるんですけど(笑)。
鈴木 そうでもない、いちおう事前にこういう感じでいこうって打ち合わせはあるんで……。
 絵コンテとかあるわけじゃないんですか?
鈴木 ないです。だから、芝居とかはこういうところから撮る、とかいうのはあります。

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 芝居の演出はどうなんですか?
小原 わたし的にはあまりないと思ったんですけど……。一番最初に、この映画を始める前に話したときも、あまりお芝居しなくていいよ、普通にしてていいよ、みたいに言われて、じゃあ、そうします、って。
 じゃあ、あまり芝居を撮ってなかったんですね(笑)。
小原 そうなんですよ。
 いやー、そこまでできちゃうとすごいですね!
鈴木 まあプロットとかホンがあるんで、言葉があるし……。福間さんが自分でロケハンとかやってるんで、場所とかは……。
 大きなところは福間監督が決めて、あとは自由にやらされてるようでいて、じつはもしかしたら決められてるのかな(笑)。
鈴木 まあ、そうだと思いますけどね。

 怖がりじゃない

小川 どちらの作品も、画がすごくきれいだっていう感想がたくさんあるでしょ。画は、ほんとにちゃんとした劇映画の画なんだけど、音は学生のスタッフが撮ってるんで、びっくりするような音なんですね、とても使えないんじゃないかと思うような音があるんです。それも含めて今回面白かったのは、使えないものはもうやめようと、シンクロにこだわってそれを使ったり、あるいはアフレコができたとしても、口に合わせて何かを喋ったりしてもらうのはもうやめようと。『佐々木ユキ』で言うと、冒頭の千石先生と話すところ、途中まではなんとか使えたんだけど、後半はぜんぜん使えない音だったんですよね。だから、ふたりはいろんな話をした、だからあとから撮った音を重ねたっていい、と。その方が表現として豊かになるんじゃないかと。そういう自由な発想ができたのは、この作品ならではでしたね。
 小川さんの提案が光った部分だと思うんですけど、それに福間さんもヴィヴィッドに反応して……。
小川 監督が面白い面白いって言ってくれるから、またそれも進むっていう……。監督はそういう意味では、怖がりじゃないので、ちっとも(笑)。

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小原 わたしが言ったことも、面白がって採用してくれたりとか、話を聞いてくれたりして、そういうとこはいつも、いいなあ、面白いなあって思いながらやってましたね。
 ぜんぜん守りに入ったりしない人なんですよね。それがうまく回った、ということなんでしょうね。
小川 さっき秦さんが言ったみたいに、映画というのは時間軸を自分たちでつくっていかなきゃいけない。たとえば『わたしたちの夏』でみんなが集まって宴会してるシーンで、雨が降って中断してた。そしたら、そのときにしてた会話がすごく面白かったんで、それを撮って使っちゃった、っていう……(笑)。ドキュメンタリーだったら成立するんだけど……。で、雨降ってる音がすごいんですよ。これ、どうすりゃいいんだと!(笑)。悩むんですよ、つながりはどうしよう、って。時間経過に使えないことはないから、そこらへんをどう表現しようかとか。そういうところが、劇映画ならではの大変さでしたね。辻褄があわないという……。
 合わないことがいっぱい(笑)。カットバックしたら、記録してる人がいないから、合ってないとか……。

小川 みなさん、なにか聞きたいことがありませんか?
(質問が出ないかなあと思っていたら、出ました。じつはこの質問した女性こそは、ついに来館した「佐々木ゆき」さんでした!)

(ゆきさん) 芝居をしないという指示があったということですが、ほかの人についてはどうだったのでしょうか?
小原 そうですねえ、ユキbにも同じようなことを言ってたと思います。たとえば舞台やってる人とかはやっぱり芝居やりたいと思いますけど、そういうのは合わないし、監督が好きじゃないので、わたしやユキbには言ってましたね。でも、千春さんは、かっちり作って、監督に積極的にいろいろ質問したり、千春という人の過去の話とかもしたりしてたんで、会話があったんだと思うんですけど。
 相手によって分けてるんですね。
小原 そう、それはありますね。
(ゆきさん) そのことをすこしだけ感じたところがあったので、納得しました。
小原 さっきも話に出ましたが、カットのあとのところを使ってたりとか、休憩のときのものを使ってたりするので、どれがほんとでどれが芝居なのかみたいな感想を言う人、けっこう多いです。
(ゆきさん) そこが面白かったです。

 もっと自由に

 イッパクさん、この映画を編集してるときに、これは映画になってるのかなあってしきりに言ってましたけど、出来上がってここまで上映してきて、わりと好評なんですが、完成してみてどうですか?
鈴木 うーん、『わたしたちの夏』のときに面白かったのは、写真を使ってやるということで、映像と写真の組み合わせを意図的にやることが、決まってたのかなあと思いますけど……。
 今回、三脚をずっと使ってますよね。
鈴木 映画になってるのかっていうと、まあ、なってるんじゃないかと思いますけど……(笑)。
 撮り終わった時点で不安があったみたいなことだったのかなと……。
鈴木 いや、それはないです、ええ、はい……。
 私は台本を読んだ時点で、これはほんとに詩の映画なんだな、福間健二そのものの映画なんだなと思って、編集ではあまり変なことはしない方がいいだろうと思って、ほぼそのまま編集した感じなんですけどね。それで、ユキの生きてる魅力が出てるから十分かなと思ってたんですけど、そのへん不安に思っておられたのかなと。
鈴木 いや、入る前に最初に、こういう方向でということを話してたんで、そのまま……。
 あ、よかったです!

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 小川さんの提案を消化していったりとかもあって、そういう意味では、イッパクさん、小川さんの力が大きくて……私はあまりないんですけど……。
小原 そんなことないです。なんかエセCGやってましたよね。ほんとのCGが何かわからないですけど、ユキbが歩道橋でふっと消えていくところ。
 あれは、最終段階で、カラコレやってるときに、その場で面白い面白いって言って、やっちゃったんです! でもちゃんと効果あるかなと思ってはいますけど。その場その場で提案を出してつくるのがいいかと。
鈴木 そうそう。でも、そんなに自由につくってるわけじゃなくて、ある程度決まりごとの中でつくってて、本格的にもっと自由ってわけじゃない気もして……はい(笑)。
 画は、かっちり撮ってて……。
鈴木 まあ、そのへんがもう少し違う撮り方もあるかもしれないとは思いますけど。
 じゃあ、次回作で。あと3作、約束が残っているんで。飲む席なんかで、福間さんは次回作のことをいっぱい話すんですけど、次はこういう撮り方でいこうとか?
鈴木 え、そうなんですか?
小原 ええ、ええ、聞きました。
鈴木 ぼくは直前じゃないとそういうことは言えないような人なんで、適当に聞きますけど(笑)。
 
 福間さんは大学の仕事が終わって、これからバリバリと撮影をして、という話なんですよね。
小川 恐ろしいことですね!(爆笑)
 『佐々木ユキ』のような作品が、またまったく違う映画として登場してくるんだと思うんですけど。
小川 一般の映画は、僕たちの意図のようなものがあって、それを観客にわかってもらえるかなってことが一番心配なんだけど、この映画は、ぼくたちが思いもしなかった観客の反応とか感想があるのがものすごく新鮮ですね! こっちの意図をわーっと押しつけるようなところがないっていうか、そういうところも、新鮮な映画なんだなあって、ぼくは思ってます。
 福間さんの映画の魅力は、そういうところにあるのかなあって思ってます。
うまくまとまったかしら(笑)。


じつに素晴らしいトークでしたね。福間監督が裏でこっそり聞いてたら、きっと涙ぐんだんじゃないでしょうか。
鈴木一博さん、秦岳志さん、小川武さん、そして小原早織さん、ほんとうにありがとうございました。これからもよろしくお願いします。
福間監督の「もっと自由な」次作にどうぞご期待ください!


宣伝スタッフ ぶー子





4月13日(土)は、監督の福間健二さんが舞台挨拶されました。
劇場はほとんど満席の状態。当日の司会、名古屋シネマテークの平野さんに促され、福間監督は終始率直、かつにこやかなもの言いで、映画の始まる前と終わってからの2度挨拶にたち、客席からの質問・感想にも長い時間をとって丁寧にコメントされていました。

まず、この映画の成り立ちには「とにかく佐々木ユキ役の小原早織さんの存在が大きい」と福間監督。そして、「タイトルにある佐々木ユキという名前は、ほかの名前であってもいいわけです。20歳くらいの年代の若い女性の一人の名前の象徴ですから」。
その若い女性が親から離れ、大人になっていく過程があるとすれば、大人になる前までの姿、「妖精時代」と言ってもいいかもしれませんが、そこまでをいくつか重なり合うような映像で描ければよかった、ということを監督のコメントから理解しました。そして、そのために「ユキ」はひたすら映画の中で見つめられなければなりません。
「ただ、知らない人が女性にでも子どもに対してでもですが、近年相手をじっと見つめることが、街の中でできなくなりました。また、そういうムードが覆っています。でも映画の中では、誰でも主人公のことをじっと見つめることができますよね」。
福間監督の実直な言葉が響きます。

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そして、まじまじと20歳である主人公の魅力を凝視するようにして完成させたのが今作。20歳の女性の妖精時代の終点間際と、それに接続する種々の世界(たとえば文月悠光さんの詩世界や千春さんという大人世界)を短冊のように織り込んでみせた自信作であると思われます。

配役にもどると、小原早織さんは福間監督の前作『わたしたちの夏』にも出演され、そのときの好演・印象が大きかった様子で今作では主演に抜擢されています。ただ、小原さんは監督が教える大学に在学中で、「2011年1月中頃からはフランスに留学することになっていました。撮影は1月の留学直前までとなりますから、そこから換算していって撮影期間は全部でおよそ6日間。正確には5日と半日ですが、その時間内に、すべての撮影を終了させることになりました」。
ちなみに『岡山の娘』は1か月近く、『わたしたちの夏』は2週間くらいで撮影したとのことでした。福間監督としては「これまでの中、最速で撮った映画」であり、「短い期間で映画を撮ってみたいと思っていた」ことも述懐。監督にとって「最速撮影」の意味にはたぶん、製作コストが圧縮されることも含まれています。

客席からの感想では、「これまで福間監督の作品をみた中で一番安定感がありました。安定感の意味は、これが自分の映画(福間映画)だという実感ができたからと思えます」に対して、「この映画に安定感があるとすれば、撮影を担当した鈴木一博さんはじめ編集、音響ほかそれぞれの担当の方の成果がとても大きかったと思います」と返す監督。

また、たまたま手にした案内チラシをたよりに初めて劇場に足を運んだという方の質問は、「福間さんが詩人だということを映画案内に書いてあってそれを初めて知りましたが、この映画を詩としてみるのがいいのか、それとも映画としてみるのがいいのか。福間さんの映画の見方を知りたい」。
これに対しては、詩には文字があって作られ、映画には映像と音があって作られと表現の形に違いが出てきますが、「自分としては映画も詩を書いている人間としての作品だと思っています」と監督。詩人としての映画表現であることを告げています。

ほかでは、「映画の中に入りづらかった」という声もありました。一方、「わかりやすかった」と上映後に語る方も。
「ある時期ゴダールにとって女優アンナ・カリーナが美の女神だったように、福間監督にとって小原さんは、ミューズとの出会いだったかもしれませんね」とは、質問・感想には名乗りをあげませんでしたが、当日の客席にいた方のコメントです。フランスで撮影した女性のポートレートが縁で、日本の雑誌で写真を撮るようになったカメラマンさん(日本人)だそうです。
ほか、客席には詩人の瀬尾育生さんなどの姿もありました。

上映イベント後、監督にサインを求めたり感想を伝える列のかたまりができて、寡黙な雰囲気ではありますが、全体に静かな熱気が感じられる会場でした。


レポート ういろうエイト
写真撮影 永吉直之





アップリンクでの上映も5日目を迎えました。
4月10日の今日は、福間健二監督による詩の朗読を聴いてもらってから、上映を始めるイベントを行ないました。
初めてこれを行なったのは、1月ポレポレ東中野での初公開のときでしたが、劇場の暗闇で耳を澄まして声を聴くことで、耳だけでなく目や身体の感覚が、冴え冴えとしてくることを体験したのでした。
『あるいは佐々木ユキ』の画や音が、いつもよりもくっきりと身体にしみこんできたのを、おぼえておられる方もいることと思います。

人間の五感というのはふしぎなものです。音が変われば、画も変わって見えてきます。いまさかんに行なわれている「爆音映画祭」も、その効果をねらったものでしょう。
人の声にみちびかれて、映画をみる。
たぶん『あるいは佐々木ユキ』には、とりわけふさわしいことのように思えます。
アップリンクXの、こじんまりとまとまった場内。音の響きもとてもいい空間です。いらしてくださった皆さん、いかがだったでしょうか。

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福間監督が朗読したのは短い詩ばかり5篇。

「トラブル」
「むこうみず」
「青い家」(劇中でも使われました)
「光る斧」
「もうすこし」(このなかのフレーズは、劇中、ユキの声でつぶやかれます)

あなたの耳に一番ひびいたのは、どの詩でしたか?



★アップリンクでの今後の上映時間とイベント、福間監督旧作特別上映についてお知らせしておきます!

4月12日(金) 20:30〜 『岡山の娘』(08) 
4月14日(日) 19:00〜 『わたしたちの夏』(11)

1回限りの貴重な機会を、どうぞお見逃しなく!

『あるいは佐々木ユキ』の上映時間帯
4月12日(金)まで  18:50〜
     13日(土)から19日(金)まで 20:50〜

 
トークイベント(上映後)
   13日(土) 「福間映画三銃士」+小原早織さん(本作主演)
    三銃士=鈴木一博さん(撮影)、秦岳志さん(編集)、小川武さん(音響設計)

   17日(水) 福崎星良さん(映画監督)+福間健二監督

どうぞお楽しみに!


宣伝スタッフ ぶー子
 




4月9日火曜日。渋谷の街も新緑が勢いを増しています。
今日のトークゲストは、女優の山田真歩さん。『人の善意を骨の髄まで吸い尽くす女』や『サイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライム』などの主演をはじめ、テレビドラマや芝居で活躍中の真歩さん。
『あるいは佐々木ユキ』を、ポレポレ東中野の最終日にたまたま見てくださったことがきっかけで、トークに来ていただくことになりました。

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今日も真歩さんは映画を見てくださってから、トークは始まりました。
福間監督が真歩さんを紹介すると、「今日は、ほんとうに不安でいっぱいなんです」と、緊張した面持ちの真歩さん。
でも気を取り直して、キリッとした目で話し始めました。
「思っていることをちゃんと言うつもりです。作品全体についてですけど、すごくバラバラだなという印象。ふつうの映画だと、ストーリーがある、ドラマが進む、なんだけど、冒頭のインタビューと子どもたちが出てくるところ、ドキュメンタリーみたいに……」。
福間監督「あれは、まず詩人の文月悠光さんに、自分もふくめた子どもが成長する過程について語ってもらった。それにアゴタ・クリストフの孤児の物語をつないだ、そうしたら小学校の子どもたちを入れたいなと思って撮りに行った、というわけ」。
真歩さん「そこでつながってくるんですね。わかりませんでした……」。
福間監督「自分の子ども時代じゃなく、全体を持ってきてもいいと。佐々木ユキだけど、誰でもユキでありうる、女の子はみんなユキ的にしようと……」。
真歩さん「しようというのは、福間さんが考えた……」。
福間監督「こういうゴールで行こうというのは、撮りながらすこしずつ決まっていった、のかな」。
真歩さん「台本はなかった? そこにびっくりした! ポレポレで初めて見たとき、何の予備知識もなかったので、見ながらずっと若い監督なのかなあと思ってた。でも、カルタのところで、年とった人かなあと……。見終わって出ると、サンタクロースのような人が監督だった!(場内笑)。福間さんの中ではつながりがあるかもしれないけど、どのシーンを取り替えても、大差ないのかなとも思います」。
いやー、真歩さん、飄々とさりげなくだけど、たぶん図星でしょうね。福間監督、ちょっとうろたえてる?

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真歩さんは続けて言います。
「個人的には、文章を書くときに、わかりやすくしたい、伝えたい、共感できるようにしたいとやってきたけど、福間さんはそうじゃないんですね?」
福間監督、少々困った様子……。
「ひとつひとつはわかりにくくないでしょ」。
「それはわかる……。わたしは、わかりやすい文章を書くことがつまらないと思うようになってきて、どうしたらいいのかと。そういうときに『ユキ』を見た。説明してない、という印象ですね」と真歩さん。
福間監督「ぼくは、わかりやすさに抵抗があるわけじゃないけど、ひとつの対象をきちんと描写するとか、凝縮していくとかに退屈しちゃうんだよね。知ってる場所が違う場所になるようにしたいというか……」。
今日の福間監督、どうもちょっと歯切れが悪いみたいですねえ……。

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「ユキが自分の名前を言って自己紹介するところ、力が入るけど何度も言ってますよね」と真歩さんが言います。
福間監督「撮ってるといろんな音が入ってくる。じゃあ、林の中で撮ろう、また音が入る、もうひとつ撮ると電車の音が入ってくる。『ユキです』と言っても世界が邪魔してくる。うまくいかないことを排除してつくることにつまらなさを感じちゃうんですよね。NGを二つやって、OKだとする。でも、もしかしてNGを使った方が面白いんじゃないか、NGのなかにも平均点以上のものがあるんじゃないかと。だからあやういもののときは、全部使っちゃえと」(場内笑いと驚き)。
真歩さん「すごい! おもしろい! 全部使うなんて初めて見た! びっくりです。こういうタイプの映画に出たことないから、役者の視点で、自分だったらどうしたらいいか途方に暮れますね。日常生活で『わたしは真歩です』みたいなものは、別世界のようなセリフですよ」。
「自分が名乗ること自体のパフォーマンス性はつよいよね」と福間監督。

真歩さん「人魚ひめを読むところもだけど、セリフが詩っぽい。読みにくいのでは? たとえば、みそ汁に大根とあったら、わたしはなんで大根?ってすぐ考える。今までの考え方では対処できないと思う。それから、おじさんの声で詩を読んでたの、うまかったよね」。
「あれ、ぼくなんです」(大爆笑)。
「えっ!」
「ピアノとのライヴの音なんだけど、入れてみたらうまくはまった」
「また最初は考えてなかったんですね」(笑)。
真歩さんは、このごろ詩に興味をもつようになったので、どんなふうに朗読するのかと質問攻めですが、もう時間が押しています。

今日の山田真歩さんとのトークでくっきりと見えてきたのは、福間監督が撮影中にどんどん横道にそれたり、偶然に起こることを大胆に取り入れたり、つまりは撮影と編集と音にどれほど助けられて映画を完成させているかということです。でも、こういうあり方もあっていい、それはじつはすごく面白い、そう言ってくれている真歩さんのような気がします。
福間健二の詩を読んでいる人には、彼の詩の「わかりにくさ」と映画のそれとがほとんど同じであることを再認識されたことでしょう。
山田真歩さん、今夜は本当にありがとうございました。

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さて、真歩さんにつづいて「福間監督を斬る」だろうと予想される13日(土)の「福間映画三銃士」(撮影/鈴木一博さん+編集/秦岳志さん+音響設計/小川武さん)と主演の小原早織さんの4人のトークが、ますます楽しみになってきましたね。
『あるいは佐々木ユキ』はその13日からは、20時50分上映開始となります。トークは上映後です。
どうぞお間違えなきよう、ぜひともお越し下さい。


宣伝スタッフ ぶー子
写真撮影   加瀬修一




「爆弾低気圧」にたたられた初日でしたが、翌7日(日)は、風は強かったものの、よく晴れました。今夜のトークゲストは古澤健監督。
『今日、恋をはじめます』の大ヒット作に続く次回作を準備中の、お忙しいなかをいらしてくださいました。古澤監督お目当てのお客様もきっといらしたことでしょう。
上映が終わって、古澤監督と福間監督が登場するやいなや、場内の空気がゆるんだように見えたのは、古澤監督のかもしだす、どこか「コミカルで庶民的な」印象のせいでしょうか。

トークは、古澤監督の持参された『急にたどりついてしまう』のビデオから始まりました。
「2年前に亡くなった親父の遺品の整理を、今ごろやってたら、福間さんの第一作のビデオが出てきたんですよ」と古澤監督。
『急にたどりついてしまう』(95年)では、古澤監督のお父様であるドラマーの古澤良治郎さんが参加していたdè-ga-showの音楽を使わせてもらったので、福間監督が古澤良治郎さんにビデオを渡していたという経緯です。遺品というものは、そういうかたちで自分の元に戻ってきて、また新たな縁を結ぶことがあるものですね。
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「『わたしたちの夏』のトークのときにも話したのですが、福間さんの感じが父に似てるなあといつも思ってるんですよ。僕は監督になって、映画に撮りたいと思った人が二人いるんですね。ひとりはベーシストの川端民生さん、でももう亡くなってしまった。で、もうひとりなんですが、父が昼間から酔っぱらって街をふらふらしながら歩いてるのを見たとき、ああ父を撮りたいと思ったんです。でもその父も死んでしまった。で、父に似ている福間さん、福間さんの話し方を聞いていると、ああ、撮りたいなあって思ってるんですよ」と古澤監督、いきなり驚くような発言!
「どこか『はずれてる』古澤良治郎さんと似てると言われるとうれしい」と福間監督は、すこし照れています。
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「父はライヴの前にも酒を飲むんで、ライヴの最中に寝ちゃうことがあるんですよ。あれ、ドラムの音が消えた……すると父が寝ている(場内笑)。変な言い方かもしれませんが、福間さんの映画にもそういう感じがある。『わたしたちの夏』を見たとき、福間さんのよそ見をしている感じがいいなあと思ったんです。
僕の作っている映画は商業映画で、客の嗜好や視線を意識して作りますよね。福間さんは、自分の視線というか、これを撮ってるのに、こっちも撮りたくなったから撮ったというのが見えてますよね。
たとえば、カルタのシーン。あれって、何も決めずにやって、ほんとにカルタやってる。見えないものが、よそ見して見えてくるという面白さですよね」
うーん、古澤監督、鋭い指摘ですよね!
「あのシーンは、ほんとうはユキbに勝ってほしかったんだけど、ユキaが負けない。もしかしたらスタッフもどこでカットがかかるかわかってなかった。なにか決められたことに反発しちゃうんですよね」と福間監督。
「商業映画も、やはり同じこと考えてるんです。『映画じゃないもの』をやりたいというか。人間の側のルールを機械のカメラに押しつけても面白くないよなあって……」

さてさて、二人の監督の話はどんどん盛り上がっていきます。
古澤監督の名言「福間さんはよそ見をする人」は、よく言われる「福間監督の映画はわかりにくい」を解くカギにもなるように思えますね。
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そして話は、古澤監督の、壮大な夢の映画構想に展開していきます。
「中島敦の本に『名人伝』というのがあって、弓矢射ちの話なんです。弓の修業をして達人となった男が、山頂に住む仙人のような大家のところに行き、さらなる修業をする。しかし、男は大家に、おまえの弓は〈射の射〉というもので〈不射の射〉ではない、と言われる。〈射〉というものはこういうものだ、と大家が見せたのは、実物の弓を持たず、弓をかまえる姿勢と目で空を飛ぶ鳥を射落としたことだった。
で、福間さんにやってもらいたいのは、カメラを持たずに映画を撮る監督の役なんです!」(場内爆笑!)。

これを考える元になったのは、古澤監督の「福間さんは、顔の感じやしゃべり方が父に似ている」ところからきているそうです。
ひとつは、お父さんが50歳を過ぎたころに「最近やっとタイコの叩き方がわかった」と言ったこと。
もうひとつは、お父さんが晩年になって手が動かなくなってきて、もうやめたいと言っているころに聞いたライヴがすごかった、これこそが音楽だなと思ったこと。
「で、福間さんは、撮影と編集と音とに助けられて『何もしてない』ように見える。何もしてなくて映画撮れれば、もうそれは『神の手』だなあと。こういう映画が撮れたらなあと思ってるんです」と古澤監督。
客席はもう大よろこびで、笑いが絶えません。
「あの『making of LOVE』、古澤監督自身がヌードで出てるんですが、やはりその監督の発想だよなあ」と福間監督。そして「じつは僕、家でDVD見ながら、セリフ言ったりしてるんですよ」(笑)。
すかさず古澤監督「そのシーン撮らせてくださいよ!」(笑)。

肝心の「アイドル・コミック・ファンタジー」への展開は時間切れとなり、今夜のトークは、福間健二主演、古澤健監督作品「神の手」で夢をつなぐことと相成りました!
みなさん、どうぞ長生きして、ご期待ください!
古澤監督、どうもありがとうございました!
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宣伝スタッフ ぶー子
写真撮影   加瀬修一





『あるいは佐々木ユキ』の東京での再映の初日。4月6日土曜日、渋谷アップリンクXで、アンコール上映がスタートしました。
初日はあいにくの悪天候にもかかわらず、劇場に足を運んでくださった皆さん、ありがとうございました。

東京にふたたびもどってきた『あるいは佐々木ユキ』。上映後、初日舞台挨拶として、福間監督、主演のユキ役の小原早織さん、香山和久/K 役の籾木芳仁さんが登場。終止なごやかなで、ゆるい雰囲気で「ユキ」の映画をめぐる3人のトークが始まりました。
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まず、出演した二人に監督が、改めて作品の感想を聞くと、「撮影しているときにはどうなるのか全然、想像もつかなかったのに、編集され、音がついた作品になって、へえ、こうなるんだって、とても新鮮に感じました」と小原さんが答えると、籾木さんも「ぼくも、撮影の時には、これがどうなるんだろうって思っていたシーンが、実際に作品となって観ると、編集と音がついて、美しい音色を出していることに感心しました」と、やはり、撮影のあとに続く編集によって完成される映画の醍醐味を語ってくれました。

これを受けて、監督も、「この作品は、撮影の鈴木一博、編集の秦岳志、音響の小川武の三人の優秀なスタッフに支えてもらった」と。
また、主演の小原さんには映画を組み立てるうえでいろいろとアイデアをもらったという監督。作品に登場する「佐々木ユキ主義」の大半は小原さんのリアルな「主義」から半分以上はもらったのだそうだ。
ほんとうは映画の撮影が終わったあとに、実際にフランスに留学した小原さん。映画のなかでは、そのフランスから帰って来たという設定になっていたそうだ。
映画のなかで、小原さんがフランスで撮影した写真も使われていた、というエピソードも含めて、製作の裏話も披露してくれました。
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小原さんは、「なんでもつめこめるのが映画。福間監督の映画では、詩とか言葉とかがつめこまれていて、それがとても自由だなって感じました」。
籾木さんも「福間監督の感性とかがぎっしりつまっているこの作品。どっか心にひっかかる映像があって、変な言い方ですが、それは目をつぶっても観ることのできる映画だし、何回、観ても発見のある映画だと」。
「目をつぶっても観ることができる」映画、という彼の感想にはびっくり。
確かに、そういう観客の感性をくすぐる映画における音の響きのようなものを持っている映画なのかもしれませんね。
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3人のトークは、「映画はやっぱり人間が作るもの。だから、枠にとらわれることなく、いろんなことができる、もっと自由になって、これからも映画を作っていきたい」という監督の抱負も語ってくれました。

初日のスタッフ打ち上げでは、今年の4月に社会人になった主演の小原さんの職場の同期の遠藤萌さんも参加。遠藤さんは瀬々敬久監督が大好きな映画通。福間監督とも大いに話しが盛り上がり、次回作以降、起用しようかなって、思わぬ展開にもなった夜でした(笑)。


宣伝スタッフ:伸之介
写真撮影:ぶー子





タイムスケジュール、トークイベントなど、決定しました!

『あるいは佐々木ユキ』は、ポレポレ東中野での上映を2月1日で終了しましたが、4月6日から、渋谷のアップリンクにて再映されることが決定しました!
見逃した! もう一度観たい! そんな大勢の方の声に応えて、チャンス到来です。
「はじまり」の4月、ユキの動く気持ちとともに観る『あるいは佐々木ユキ』は、また冬とはちがう顔を見せてくれるのかもしれませんね。どうぞご期待ください!
東京での上映は、アップリンクのあとしばらくは予定していませんので、この機会をお見逃しなきよう、よろしくお願いします。

2013年4月6日(土)〜  一日1回上映
 スクリーン:X(2F)

 4月6日(土)〜12日(金) 18:50〜
     13日(土)〜19日(金) 20:50〜


★    トークイベント「ガール・ミーツ・ドリームあるいは……」
本篇上映後に行ないます。
 
 4月6日(土)  福間健二監督+小原早織さん(本作主演) 初日舞台挨拶

 4月7日(日)  古澤健さん(映画監督)+福間健二監督
   『今日、恋をはじめます』が大ヒット中の古澤監督。
   二人の監督の「ガール」への思いは?
    
 4月9日(火) 山田真歩さん(女優)+福間健二監督
   『SR2 女子ラッパー傷だらけのライム』主演の山田真歩さん。
   ドラマに芝居に活躍中の、真歩さんの主義は?
 
 4月10日(水) 福間健二監督の詩朗読(上映前)
   耳から目へ、音から映像へ。『あるいは佐々木ユキ』ならではの試みです。

 4月13日(土) 「福間映画三銃士」+小原早織さん(本作主演)
   「福間映画三銃士」=鈴木一博さん(撮影)
                             秦岳志さん(編集)
                             小川武さん(音響設計)
   福間監督不在(名古屋シネマテークで挨拶中)で、どんな話題が飛び出す    か!
   
 4月17日(水) 福崎星良さん(映画監督)+福間健二監督
   昨年、恵比寿映像祭とアップリンクで上映された『Come Wander With     Me』が高く評価されている福崎星良さん。この3月、大学を卒業されたば   かり!
   福崎星良さんの短篇作品はこちらから。
   http://www.youtube.com/user/serafukuzaki

★ 「ユキの部屋」展示開催!
上映期間中、佐々木ユキの部屋を再現すべく、2階アップリンク・マーケットの一角に、劇中に登場した小道具たちの展示コーナーを設置します。
あっ、あれだ! えー、これだったんだ! そんな実物をじっくりご覧ください。
佐々木ユキ主義がもっと見えてくるかも……。


料金
一般 ¥1500  学生 ¥1300(平日学割¥1000)
シニア・UPLINK会員 ¥1000
★「わたしも(佐々木)ユキ」割引実施!
お名前が「ユキ」(読みが「ユキ」であれば、どなたでもOKです)のお客様は、ご本人に限り、¥1000に割引。お名前が証明できるものを、受付時にご提示ください。
また、お名前がズバリ「佐々木ユキ」のお客様は、ご本人に限り、無料ご招待させていただきます。お名前が証明できるものを、受付時にご提示ください。
★リピーター割引実施!
『あるいは佐々木ユキ』ご鑑賞時の半券をご提示で、ご本人様に限り何度でも¥1000でご覧いただけます。

http://www.uplink.co.jp/movie/2013/7582


アップリンク
〒150-0042
東京都渋谷区宇田川町37-18 トツネビル
TEL 03-6825-5503
http://www.uplink.co.jp/




『あるいは佐々木ユキ』アップリンクでの上映期間中に、『岡山の娘』と『わたしたちの夏』の上映も行ないます!
どちらも1回限りの上映です。
『あるいは佐々木ユキ』を観て、福間健二監督の過去の作品を観たい! と思った方にチャンス到来。どうぞこの貴重な機会をお見逃しなきよう、アップリンクにお越し下さい。いずれも、アップリンク2F、ROOMにての上映となります。

4月12日(金) 20:30
『岡山の娘』 2008年/HD/カラー/92分
 監督・脚本=福間健二、撮影・照明=大西一光、編集=福間雄三
 出演=西脇裕美、家ノ上美春、石原ユキオ、季羽和喜、入海洋一

4月14日(日) 19:00
『わたしたちの夏』 2011年/HD/カラー/89分
 監督・脚本=福間健二、撮影=鈴木一博、編集=秦岳志、音響設計=小川武
 出演=吉野晶、小原早織、鈴木常吉


料金
 一般・学生 ¥1200/シニア・UPLINK会員¥1000
 『あるいは佐々木ユキ』をご覧いただいた方は、半券ご提示で¥1000に。

http://www.uplink.co.jp/movie/2013/7582

アップリンク
〒150-0042
東京都渋谷区宇田川町37-18 トツネビル
TEL 03-6825-5503
http://www.uplink.co.jp/




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