あるいは佐々木ユキ 公式blog

A Fairy Tale
福間健二監督作品  2013年/HD/カラー/79分

表紙15

今回の横浜での上映は、初日から台風接近〜上陸となり、あいにく天候には恵まれませんでしたが、20日の最終日を無事に終えることができました。
どこの劇場でも最終日は決まって、開映寸前に駆けつける人がいるものですが、昨夜のジャック&ベティでも、3人ほどの方が息を切らして来てくださいました。ありがたいなあと思います。

20時25分きっかりに、支配人の梶原さんの呼び出しで登場した福間監督。一緒に挨拶に立つ予定だった主演の小原早織さんが、どうしても仕事から抜けられず来られなかったこともあってか、今夜の福間監督は気合いが入ってます!

『あるいは佐々木ユキ』は、2011年の3月4日に最後の撮影を終えて、その1週間後に起きた3.11の後しばらく経ってから編集に入りました。その作業は、やはりどこかでこの「事件」を意識させられながらだったと思う。映画の最後のところの、モノレールからの空と山の景色。この空は3.11以後につながっていくものだ、それを予感させるようにこの映画を終えることができたと思う。
福間監督はまずそう話しました。

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そして、2008年の『岡山の娘』、2011年の『わたしたちの夏』、今年の『あるいは佐々木ユキ』と立て続けに撮ったわけですが、それぞれに、映画のなかに詩をとりこむことを意識的にやってきた。うまくいってるかどうかは別として、自分ではやりきったかなと思うところもある。
いちおう「詩と映画」はこのへんで卒業して、今後はちがった展開を考えていこうと思っています。どんなものになるか自分でもまだわからないけど、ここまでで得たものが生きるような、また自分の個性が出せるような、そんな作品をつくっていきたいです。

福間監督にしてはめずらしい、たった5分の舞台挨拶。『ユキ』のポイントと次作への意欲を簡潔に語って、壇上を去りました。
1月に公開してから、9か月近くを経た『あるいは佐々木ユキ』は、ひとり歩きしはじめて、監督になにかを教えてくれているのでしょうか。
福間監督の頭のなかに、きっともう生まれているはずの新作のイメージ。ちょっとのぞいてみたいですね!
『岡山の娘』以来、ジャック&ベティにはいつもお世話になってきました。これからもどうかよろしくお願いします。

いらしてくださった皆さん、ジャック&ベティ支配人の梶原さん、副支配人の小林さん、そしていつも笑顔で迎えてくれるスタッフの皆さん、ほんとうにありがとうございました!

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宣伝スタッフ 若葉メリー





9月14日(土)、『あるいは佐々木ユキ』は横浜のシネマ・ジャック&ベティでの初日を迎えました。関東では、5月のシネマテークたかさき以来、約四か月ぶりの上映です。冬の映画『あるいは佐々木ユキ』が、暑い夏をこえて、どんなふうに観客のみなさんに受けとめてもらえるか、興味津々です。
ジャック&ベティでは、『岡山の娘』と『わたしたちの夏』も上映してもらいました。
もともと、横浜は福間健二監督のお気に入りの場所。とくにジャック&ベティのある若葉町・黄金町界隈の、なつかしく、ちょっと寂れて、ちょっと危ないような雰囲気に、とても惹かれているようです。

まず、10時30分からの回。
上映後、副支配人の小林良夫さんの紹介で、福間監督とユキbを演じた川野真樹子さんが舞台挨拶に登場しました。

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「みなさん、朝はやくから駆けつけていただき、ありがとうございました。『あるいは佐々木ユキ』は、2011年の冬に撮影しました。最後のモノレールの景色を撮ったのが3月4日。その一週間後に3・11がおこるわけですが、あのモノレールが進んでいく先に3・11以後の日本がある。そんなふうに作ったつもりです」と福間監督。
そしてこんなふうに続けました。
「映画は、フィクションで作っていることとは別に、そのときの風景を記録しています。あとで行ってみるとなくなっているものがちゃんと写っている。ある意味では、人もそうですね。川野さん、映画のなかの自分を見てどう感じますか?」
「まだ子どもだったかな、という感じです。『わたしたちの夏』につづいて、この作品に出ることになって、大きな役だし、夢中だったんです」と川野さん。
「冬で、とにかく外の撮影は寒かったよね」
「寒かったです。ユキbは薄着だったのでなおさらです」
「ユキbは、どういう存在なのか謎めいていますが、不幸な環境にいて逃げるように出てきたということで、コートとかは着せなかったんです」

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そのあと、ロケ撮影をどんなふうにおこなったかという話に。福間監督は、毎度のことですが、鈴木一博カメラマンにいかに助けられたかを語りました。もちろん、仕上げ段階での編集の秦岳志さん、音響設計の小川武さんの貢献ぶりについても。
川野さんは、印象に残っている場面として、まず、ユキとのカルタのシーンをあげました。それから、クリスマスのイルミネーションの残る夜の立川の街を歩いたシーンだそうです。

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挨拶トークのあと、二人はロビーでパンフレットにサインをしながら、熱心な観客のみなさんと交流の時間をもちました。福間監督が毎朝書いているツイッターの詩を楽しみにしているという方もいました。
川野真樹子さんは、いま、首都大学東京の大学院にすすみ、目下の研究テーマは「映画と演劇における身体表現」だそうです。
福間監督は、このあとは、もっと広がりのある作品、物語がストレートに流れる作品も撮ってみたいと話していました。

福間監督は、川野さんや見に来てくれた大学院時代の友人と昼食をとったあと、劇場に戻って、パク・チャヌク監督の『イノセント・ガーデン』を見ました。
そのあと、遊びに来てくれたダーティ工藤監督と劇場のまわりの「ディープな横浜」を探索したとのこと。ちょうどこの日、若葉町は日枝神社のお祭りで、工藤監督はその行列を「もしかしたら次の作品に使える」とカメラに収めました。その前に、ジャック&ベティで福間監督の「友情出演」のワンショットも撮影したそうです。

夜の回は、20時25分からの上映。
上映前に福間監督が挨拶をしました。
「みなさん、ほんとうによく来てくれました。『あるいは佐々木ユキ』は、前作の『わたしたちの夏』の仕上げがすんでない段階で、どうしても撮りたくなって撮った作品なんです」とこの作品への思いを語りました。

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途中からダーティ工藤監督も壇にあがってくれました。
二人がともに尊敬する故石井輝男監督の話も出て、「映画は、とにかく作りつづけることが大事」と工藤監督。
「ぼくの映画は、どこかで石井さんのようなB級映画も意識している。ずっと90分だったけど、今回は79分にまで詰めた。ダンスあり、インタビューあり、朗読ありと、いろんなものがそのなかに入っています」と福間監督。

この日の二回上映。数字的には、いささかさびしいスタートとなりました。
でも、さっそくツイッターにうれしい反応が次々に出ています。
『あるいは佐々木ユキ』は、確かに見る人が自分の心と対話するみたいに感想を言いたくなる映画なのです。
横浜での上映は、20日(金)まで。
16日からは20時25分からの一回上映となります。
みなさん、劇場に足を運んでください。まわりの人に宣伝してください。
どうぞ、よろしく!

宣伝スタッフ 若葉メリー
写真撮影   小林良夫
 





大阪七藝での上映ののち、『あるいは佐々木ユキ』はしばらくお休みしていましたが、9月はその反動のようにフル回転します! 
第一弾は横浜。横浜と言えば、ジャック&ベティ。ジャック&ベティでは、『岡山の娘』も『わたしたちの夏』も上映していただいてきました。黄金町の駅も、若松孝二監督も通ったおいしい中華の聚楽園も、すっかりおなじみになりました。
9月14日初日は、上映後に福間監督の舞台挨拶を予定しています。
タイムスケジュールは決まり次第アップします。

神奈川県の方、東京で見逃した方、ふたたびユキちゃんに会いたいと思っている方、どうぞこの機会に黄金町に足をお運びください。関東での上映は、この先しばらくは予定がありません。どうぞお見逃しなく!


9月14日(土)・15日(日) 一日2回上映
  10:30〜   
  20:25〜

9月16日(月祝)~20日(金) 一日1回上映 
  20:25〜


★イベント
 9月14日(土)10:30の回上映後 川野真樹子さん、福間健二監督による舞台挨       拶あり
        20:25の回上映前 福間健二監督による舞台挨拶あり
 9月20日(金)20:25の回上映前 小原早織さん(予定)、福間健二監督による舞       台挨拶あり


料金
当日一般:1500円 大学・専門:1200円 高校生以下・シニア:1000円
*詩集割引あり 
 お手持ちの詩集をご提示で、一般/大学・専門料金から各200円引き!



シネマ ジャック&ベティ
〒231-0056 横浜市中区若葉町3-51
tel:045-243-9800
京浜急行 黄金町駅5分、市営地下鉄 阪東橋駅5分
http://www.jackandbetty.net




仙台のみなさん、宮城県のみなさん、お待たせしました!

昨年8月の『わたしたちの夏』にひきつづき、仙台市にあるギャラリーTURNAROUND にて、福間健二監督の新作『あるいは佐々木ユキ』が上映されます。2回の上映の間には、福間健二のトークとポエトリーリーディングも行なわれます。
また、今年は「福間健二展覧会」を開催。詩人・映画監督としての福間健二の仕事のここまでを、ギャラリーお隣のカフェHANGAROUNDで2週間の会期で展示してくださいます。

さまざまなアートを担うギャラリーTURNAROUNDならではの、この「福間健二スペシャル」! どうぞお楽しみに!
ご来場をお待ちしています。


★『あるいは佐々木ユキ』上映会 
9月29日(日)

 1回目上映 12:30〜13:50
 
 トーク&ポエトリーリーディング 
  14:00〜15:30
 
 2回目上映 16:00〜17:20 
 
会場 ギャラリーTURNAROUND
入場料 1500円(トーク付)、映画のみ1000円
 

★福間健二展覧会
会期 9月29日(日)〜10月13日(日)
会場 ターンアラウンド隣接 Cafe&Gallery HANGAROUND
入場無料


ギャラリーTURNAROUND・Cafe&Gallery HANGAROUND
 仙台市青葉区大手町 6-22 久光ビル1F
 tel&fax 022-398-6413
 http://turn-around.jp/sb/log/eid324.html

仙台上映会ブログ http://ameblo.jp/aruiwa-sy-sendai/


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鹿児島のみなさん、お待たせしました!
昨年8月の『わたしたちの夏』につづいて、『あるいは佐々木ユキ』も鹿児島ガーデンズシネマでの上映が決定しました。大好きな鹿児島での上映、福間監督もとてもよろこんでいます。

鹿児島ガーデンズシネマは、もともと自主上映会などを行なっていた鹿児島コミュニティシネマが、街の中心天文館にあるショッピングモール、マルヤガーデンズの7階のミニシアターを借りて運営している劇場です。大勢のボランティアスタッフが交代で日々の仕事を支えています。キャパ39の小さな劇場ですが、心地いい椅子と新しい映写環境がととのったすてきなミニシアターです。

このガーデンズシネマで、『あるいは佐々木ユキ』は、9月の連休22日(日)・23日(月)の2日間、3回の上映を行ないます。福間監督はもちろん今年も参ります。どうか今から予定を立てておいてくださいね。
鹿児島のみなさん、鹿児島寄りの熊本・宮崎のみなさん、どうぞこの機会をお見逃しなきようご来場ください。
お待ちしています!


9月22日(日) 2回上映
  15:30〜  上映後、福間監督トーク
  17:40〜  上映前、福間監督舞台挨拶

9月23日(月) 1回上映
  18:30〜  上映後、福間監督トーク
 



料金
一般 1,800円/学生 1,500円/高校生以下・シニア 1,000円
障がい者手帳をお持ちの方(付添1名様)1,000円
カゴシネ会員 一般 1,000円/学生 800円
*詩集割引あり!
 どんな詩集でも受付時にご提示で、一般・学生料金より300円引きに!
*「ユキ」割引あり!
 お名前の読みが「ユキ」の方は、1,000円に! 
 証明できるものをご提示下さい。


鹿児島 ガーデンズシネマ
〒892-0826
鹿児島市呉服町6-5
マルヤガーデンズ7F
tel&fax 099-222-8746
http://kagocine.net/index.html





大阪は十三にある第七藝術劇場。歓楽街のど真ん中、大きなボーリングのピンが目印のビルの6階に、われらがナナゲイはあります。福間監督作品は、『岡山の娘』以来、ナナゲイで上映していただいてきました。

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6月1日土曜日、『あるいは佐々木ユキ』初日の夕刻に、十三の駅に降り立った福間監督。とたんにニコニコ顔に変身しました! 福間監督は、ご承知のようにふだんから元気ではありますが、大阪に来るとやんちゃな子どもになったように、いちだんと溌剌としてくるんですねー。
今回は、初日と2日目の2日にわたって、福間監督の朗読と挨拶を行ないました。

初日20時30分、ナナゲイのロビーにはたくさんのお客様がいらしてくださっています。今夜は若い男性が多い! うれしいなあ。
2月の神戸映画資料館での上映のときに対談をしてくださった細見和之さん、小林政広監督と小林直子プロデューサー、そしてこの4月から大阪に転居した、『わたしたちの夏』と『ユキ』編集の秦岳志さんも来てくれています。

20時40分、福間監督が登壇して、詩の朗読です。この6篇は『あるいは佐々木ユキ』上映前朗読の定番詩となりました。
「むこうみず」「トラブル」「週替わりの部品交換」「青い家」「光る斧」「もうすこし」。
タイトルを並べてみて、その言葉から『ユキ』を空想してしまうのは、内側の見方でしかないでしょうか……。

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上映が終わり、松村支配人の紹介を受けて福間監督はふたたび登壇しました。
「ここまで自分で何度も見て、舞台挨拶も重ねてきて、つくった自分でも『ユキ』がどんな映画なのかわからなくなってきているところがあります」と始めました。
「ひとりの女の子の話ではなく、誰でもないけれど誰でもある、そういう話をファンタジーとして、詩やおとぎ話をまぜこんでつくりたかったんです。言葉でこの世界を知り、言葉を打ち負かすような現実に出会いたい。言葉と映像がぶつかりあうような映画にしたかったんですね」。

ここで、男性から質問が出ました。
「たくさんの詩が使われていますが、これほど入れたのは何か意図があったのですか?」。
福間監督は答えます。
「プロデューサーや他の人たちから、あまり詩は使わないほうがいいという意見が出ていたので、今後使わせてもらえないかもしれない、というわけで、どんどん入れていったんです。はじめから決めてあったものもあったけど、夕暮れのアパートのユキの孤独な気持ちが出ているところ、あそこはたまたま『青い家』を持ってきたらぴったりはまった、という使い方もしました。表現するということにおいて、自分のすべてを入れるとなると、ぼくの場合そこには詩があるわけですね。まあ、詩は長年やってきてますけど、映画はやっと映画学校卒業できたか、というところでしょうか」。

それから福間監督は、よく言われているモノレールからの風景について説明しました。
「これの撮影は、3.11のちょうど1週間前にしました。編集にとりかかるのはずいぶん先になったのですが、ラッシュを見て、高い位置からの景色というのは、空間のみならず時間の感覚もずいぶん違って見えてくるものだと気がついたんですね。それで、この風景に、千石先生自身の過去からの時間を語る声をのせたんです。それから、ラストでは、3.11以降にもつながっている時間なのだと感じられるようにしたつもりです」。
というところで、福間監督はあらためてみなさんにお礼を言って舞台挨拶を終えました。

ナナゲイはいつも、監督挨拶のあとの場として、劇場のドア外にテーブルを用意してくれていて、そこでサインをしたり、それぞれの感想を伝えてもらえるようになっています。場内では言いそびれたけど、こういう場でならという感じで「よかったです!」と声をかけてもらえるのは、監督にとってとてもうれしいことですね。




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さて、6月2日(日)、上映2日目もまた若い人がたくさん来てくださいました。今日はとりわけ女性が多いです! そして、なんと、同じビル5階のシアターセブンで新作3本上映を行なっているダーティ・工藤監督も見にきてくれました!
ダーティ・工藤監督(福間監督は工藤くんと呼びます)と福間監督は、石井輝男監督ファン同士として出会った古い仲。このところご無沙汰していたふたりですが、時期を同じくして5階と6階でそれぞれの作品を上映・挨拶という思いもかけぬ偶然!
「今は亡き石井監督が、オレと健ちゃんを大阪でひきあわせてくれたんだよ!」と工藤監督。
2日目の福間監督は、若い女性と旧友、それだけでめちゃうれしそうです!

今日も福間監督は朗読から上映に入り、終わってから挨拶に立ちました。
2011年1月に行なった6日間の撮影の様子を説明しながら、とりわけ鈴木一博カメラマンのすごさと主演の小原早織さんのカンのよさに、自分はほとんど何もしてないみたいだった(!)と語りました。
若い女性から質問が出ました。
「ユキは、お父さんのことを軽蔑していると語っていますが、『人間、生きていればいい』というお父さんの言葉をいつも心においていますよね。ほんとうはどう思っているんでしょうか」と、鋭い指摘です。
「うーん、そうですよね……。お父さんに対して、単に軽蔑だけではない気持ちがありますよね。ユメの中でも父と兄に声をかけようとしている。でも届かない。でも、『生きていればいい』という父の言葉は心に引っかかっている……。ぼくには子どもはいませんが、もし自分が親だったら子どもが高校卒業と同時に100万ぐらいお金を渡して自分で生きていきなさい、という考え方なんです。ユキの母にそれをさせていますが……。うまく言えませんが、ぼく自身が親に対して持っている気持ちが、ユキの親たちに、ちょっとねじれたかたちで出ているのでしょうか……」と、福間監督。
もう時間です。福間監督はお礼を述べて、舞台をおりました。

今日もまた、ひとり、ふたりと感想を伝えてくれる人がいます。2月の神戸映画資料館のときのチラシを手にしていて、ぜひ見たいと思っていた、という若い女性と若い男性。関西は、大阪と神戸と京都がこんなふうにつながるのだなあと、ナナゲイに来るたびに思います。ほんとうにありがとう!

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この夜はもちろん、ダーティ・工藤監督と松村支配人と久々の乾杯です。自作の上映の合間に、大阪で撮影しつづけたという工藤監督。
「石井さんがオレたちに残してくれたのは、映画を撮りつづけるということだよな、健ちゃん!」。
その上映を実現してくれる第七藝術劇場、松村支配人とスタッフのみなさんに、そしていらしてくださったみなさんに、あらためて感謝します。
ありがとうございました!

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『あるいは佐々木ユキ』は、7日(金)まで上映しています。
関西のみなさん、どうぞこの機会をお見逃しなきよう、十三まで足を運んでください!
20時40分上映開始です!


宣伝スタッフ だし巻きタマゴ










映画の作り方が詩を書くことに似てきたし、
詩を書くことが映画を作ることに似ている部分がある、僕の場合。

『あるいは佐々木ユキ』福間健二監督インタビュー

取材・文/ラジオ関西『シネマキネマ』

ぴあ関西版WEB  2013年5月28日
http://kansai.pia.co.jp/interview/cinema/2013-05/sasakiyuki.html





わたしと世界とユキと。見えるもののすべてへ。
『あるいは佐々木ユキ』レビュー

暁方ミセイ(詩人)

映画芸術2013年1月26日
http://eigageijutsu.com/archives/201301-1.html








大阪のみなさま、大変お待たせいたしました!
『あるいは佐々木ユキ』、6月1日からいよいよ第七藝術劇場で上映開始です。
第七藝術劇場では、『岡山の娘』も『わたしたちの夏』も上映していただきました。
福間監督にとって、十三の街はすでに馴染みの土地になっています。
6月1日(土)と2日(日)は、監督が劇場にいます! 
2日間とも、詩の朗読と舞台挨拶を行ないます。
耳から目へ、音から映像へ。『あるいは佐々木ユキ』ならではの試みを、大阪でも行ないます!
どうぞ迎えてやってください!
神戸映画資料館で見逃した方、京阪神の方、この機会にぜひともご覧くださいますよう、お願い申し上げます。

6月1日(土) 〜7日(金) 20:40 上映開始

6月1日(土)・2日(日)
  上映前(20:40から) 福間監督による詩朗読
  上映後(22:10ごろ)   福間監督舞台挨拶 


料金
前売り:1200円
当日一般:1500円 専門・大学生:1300円 シニア:1000円
*詩集割引あり 
 だれのどんな詩集でも受付時にご提示で、当日一般料金が1300円に!


第七藝術劇場
〒532-0024 大阪市淀川区十三本町1-7-27
サンポードシティ6F
tel:06-6302-2073 fax:06-6302-8820
http://www.nanagei.com/




ゴールデンウィークを過ぎてから、初夏を感じさせる天候がつづいています。
心地よい風の吹く5月18日(土)、『あるいは佐々木ユキ』はシネマテークたかさきでの初日を迎えました。今日は上映のあとに別枠で、詩の朗読会も行ないます!

2010年、第24回高崎映画祭での『岡山の娘』の上映を機に、福間健二監督は群馬県と深いつながりができました。2011年には詩集『青い家』により萩原朔太郎賞を受賞して何度も前橋を訪れ、そしてシネマテークたかさきで『わたしたちの夏』を2012年に、『あるいは佐々木ユキ』を今年2013年に上映していただくという幸運な経緯です。
群馬県は古くから、人々の文化への関心が高い土地です。とりわけ詩と音楽と映画。詩人であり映画監督である福間健二と群馬県とのご縁は、偶然ではなく引き寄せられたものなのかもしれませんね。

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さて、今日の高崎行きには、秘密のプロジェクト(!?)撮影班2名が同行しています。監督と二人は街を散策してから、午後3時前、シネマテークたかさきに入りました。いつものように、支配人の志尾睦子さんと副支配人の小林栄子さん、そしてスタッフのみなさんが、あたたかく迎えてくださいます。すでにお客様もロビーにあふれんばかりにいらしてくださっています。『ユキ』で、カッコいい千春さんを演じた吉野晶さんのご両親も、お住まいの行田市からいらしてくださいました。
午後3時半からの上映、今回は初めての2階のスクリーンです。たくさんのお客様に混じって福間監督も観ました。そして上映後、福間監督は大きな拍手をあびて、舞台挨拶へと。いつものように志尾支配人の進行で始まりました。

「群馬県と縁ができて、新作を皆さんに見てもらえて、ほんとうにうれしいです」と福間監督は、まずお礼を言ってから話しました。
「『青い家』という詩で『書くことがなくても書く』と言っていますが、この映画もどこか『撮ることがなくても撮る』というくらいの気持ちで撮ったところがあります。
もちろん、撮りたいと思っていることがないわけじゃないですが、主演の小原早織さんと相談をかさねて、彼女の持っているものが活きるように、佐々木ユキと彼女が真ん中にいるような世界をつくっていきました」。

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志尾さんは言います。
「今回まで福間監督の3つの作品を上映させてもらってきて、監督の独自の世界がますますいいかたちで動いていっているのを感じます。詩人でもある福間監督の映画には、詩の要素が大きく存在しているけど、『ユキ』では具体的にたくさんの詩が使われていますよね。これはどういう意図があるのですか?」。
「まわりの意見も聞いた上で、詩を使うのは今回を最後にしようと思った。ならば使ってしまえと。ユキが踊るところは、すでにあったカセットテープを実際にかけながら撮影した。でも『青い家』は、あとから入れようと思って、編集の段階で使ってみたらうまくはまったという感じです」と福間監督。
「それは偶然ではなくて、福間さんの映画においては必然だったのではないかと思うんです。しっくりはまるというか……。小原早織さん、つまりユキ、彼女の成長などは、カメラを通してどんなふうに感じてましたか?」と志尾さん。
「撮ってるときは、小原さんの成長とかということは、ある意味でよくわかってなかったんです。『ユキ』の撮影が1月にあり、3月に追撮をして、その直後に3.11があったんですけど、ぼくは地震が起こる2時間前に成田を発ってポルトガルに行ったんですね。ポルトガルの田舎の町に行ってジプシーの少年に出会った。そしてその目に惹きつけられた。彼はお金目当てでぼくに近づいたわけですが、その生きている目、奥になにか深い感情を秘めている目。これは、小原早織の目だ、と思ったんです。この体験から、まだ編集していなかった『わたしたちの夏』から『ユキ』へと、小原早織の目にポイントをおいて編集していくことになった。そこで見えてきたもの、大きかったです」と福間監督。
うーーん、このエピソード、なんだか詩ですねえ……。

さらに福間監督は、
「一方でおとぎ話ということで、たとえば、三つのものから選ぶときは一番小さなものを選ぶといいってこと、みなさんにこの映画から知ってもらえるといいなって思いますが、おとぎ話と現実のあいだで、ひとりの『人間』になっていくユキのまわりに、いろんなことが重なりあって起こっています。それを受けとめてもらえたらと思います」と語りました。
「詩と映画がどんどん近づいてきていると思うんですが」と志尾さん。
「そうですね。そうなってきたこと、それを望んでいたんだと思う一方で、なにか、そんなふうに詩を書き、映画をつくることが、許されることなのかどうかという気持ちも起こっていますね」。

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朗読会への時間が押してきて、志尾さんは、もうひとつお聞きしたかったことがあるんです、と言います。
「今回のチラシとポスター、パンフレットのデザイン、一般的にはスチールを配して内容を伝えやすくしますけど、この大胆さというか何かへの挑戦とも思えるデザイン、これはどういうことだったのですか」。
「いまのチラシのあり方にいつも不満があって、どうにかしたいと思っていた。画家の友人の作品が以前から好きだったので、思い切ってお願いすることにして、自分の作品として作ってほしいと頼んだんです。結果、賛否両論ありましたけど、『ユキ』にはこれでよかったと思っています」。
福間監督はそう言って、舞台挨拶を終えました。

ロビーには、福間監督にひと言感想を伝えたいという方が、順番を待っています。また若い女性もずいぶん見てくださっていたようで、うれしいことです!

そして、17時半からの朗読会の準備も着々と進められていて、2階にはコーヒーや紅茶のいい香りが流れています。
今回の朗読会は、高崎でどういうかたちでか朗読できたらという福間監督のかねてからの希望を、シネマテークたかさきの小林副支配人が中心になってあれこれ模索してくださった結果、劇場でやろう、それもカフェ気分を出してお茶付きで、ということで実現したものです。劇場内での朗読会は、シネマテークたかさき初めての試みです。スタッフのみなさんが工夫をこらして、この日の準備をととのえてくれました。
2階の片隅はさながら小さなカフェ。お茶に詳しいスタッフの方が、4種類のお茶を用意してくださっていて、お客さんの希望にテキパキと対応してくれています。福間監督が持参した、『ユキ』のロケ地である立川のお菓子のおまけ付き。お茶を手にしたお客様の顔がリラックスしてきて、いい空気に満ちています。

こうして、17時半。福間監督は挨拶なしで、いきなりお馴染みの「定番」的な作品から朗読を始めました。

「むこうみず」「トラブル」「いま」「もう言いあいもできない」

すこし緊張しているように見える今日の福間監督。ここでちょっとひと呼吸。
それから『あるいは佐々木ユキ』のことを話してから、映画のなかに使われたフレーズの入っている詩2篇と、劇中で本人が朗読している2篇の詩を読みました。

「光る斧」(もっとしずかに/あけてやらないと/そのふた、獰猛になるよ)
「もうすこし」(もうすこし歩いて/もうすこしへんになってみる)
「週替わりの部品交換」
「青い家」


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こうして生の声に耳を傾けていると、さっき見たばかりの映画の場面がよみがえってきます。客席の緊張もほぐれてきました。
福間監督も、すこしずつペースを取り戻して、声が熱を帯びてきているのが伝わります。

それからツイッターで発表している詩を2篇。

「立ちどまった恋」「真夜中、川べりの」

福間監督は、2011年5月からほぼ毎日ツイッター詩を書き続けています。10回で1篇の詩になるように組み立てられていて、togetterにまとめてアップしていますが、その1篇は意外に長いものになるとのこと。
「立ちどまった恋」はこれまでで一番viewの回数が多かったそうです。自分では、たとえば今回のがいいなあと思っていても、なかなかそのとおりview は伸びないそうです。
「真夜中、川べりの」は最新のツイッター詩。「川べり」という言葉は、福間監督の詩のなかに登場する最も頻度が高いものですが、今回は、いままで気がつかなかった、ソウル歌手のサム・クックの影響を意識したそうです。

そして、最近作った詩のなかから6篇。

「二度寝しないために」
「何をやってきたのか」
「窓」
 この詩は、昨年1月に亡くなった親しかった詩人の新井豊美さんの詩
 の、うつくしいフレーズを使っているもの。記しておきます。
 「生きることの罪と/生命の官能をつなぐ/金色のほそいみちすじ」

「彼の撮った写真」
 これは、萩原朔太郎賞をいただいてから、前橋文学館友の会会報に寄
 稿したもので、朔太郎を意識して書こうと思ったけどそれはなかなか
 むずかしくて、結局、朔太郎による写真集からイメージした作品との
 こと。
 「いまは遠くで思うだけだが/前橋に行ったら/会ってしまう男」と
 始まります。

「三つの風のうた」
 このひとつの〈卒業〉は文藝春秋4月号に掲載されたものです。

「落としましたよ」
 この詩は、今年1月12日に『あるいは佐々木ユキ』が公開され、14日
 は交通機関マヒの大雪、16日はアルジェリアで日本人が人質になり殺
 される事件の起こった日、という時間のなかで書いた作品とのこと。

全部で16篇。言葉がまるで音楽のように響いてきた福間健二ポエトリーワールドは、ちょうど1時間で終わりました。人の声は力を持っていますね。映画館の暗闇が、知らない異空間になってしまっていました!

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大きな拍手で「目ざめる」と、志尾支配人が登場しました。
「シネマテークたかさき初めての朗読会、すばらしかったです。せっかくなので、客席から質問なり感想なりあったらぜひ」と。
二人の女性から『ユキ』についての質問が出ました(さすが高崎!)。
福間監督の、少々脱線気味の答を聞いているうちに、佐々木ユキがただのひとりの女の子ではなく、だれもの心のなかにいる存在だと感じられてきました。

さて、映画を見てくださった皆さん、映画から朗読まで長い時間おつきあいくださった皆さん、ほんとうにありがとうございました。
シネマテークたかさきの初日は、濃い中身の充実した時間になったと確信しています。
これを作り出してくださったスタッフのみなさんに心から感謝します。
ほんとうにありがとうございました。
また、撮影スタッフのお二人、お疲れさまでした。

上映は24日金曜日までつづきます。
『あるいは佐々木ユキ』の体験を面白かったと思われた方は、ぜひまわりの方に薦めてくださいね。どうぞよろしく!


宣伝スタッフ カツ丼娘
 





いよいよ5月18日から、『あるいは佐々木ユキ』はシネマテークたかさきで上映になります。
2010年、第24回高崎映画祭で『岡山の娘』を上映していただいて以来、福間健二監督は群馬県とは深いつながりを持ってきました。2011年には詩集『青い家』により萩原朔太郎賞を受賞し、翌2012年には『わたしたちの夏』をシネマテークたかさきで上映、そしてこのたびの新作もまた、シネマテークたかさきでお世話になります。
このご縁のおかげで、群馬の方々とのたくさんの出会いがありました。新作『あるいは佐々木ユキ』をとおして、さらなる出会いがあることを願っています。

初日18日は、もちろん福間監督がご挨拶にまいります。
その後17時30分からは、同じくシネマテークたかさきにて、福間監督の朗読会を行ないます。『あるいは佐々木ユキ』は、画と音を楽しむ映画でもあります。その余韻のままに、音としての詩をお楽しみいただければ幸いです。
これは映画とは別枠で、朗読だけの方も受けつけます。

群馬のみなさん、どうぞこの機会に『あるいは佐々木ユキ』を存分に味わってください! 


『あるいは佐々木ユキ』

2013年 5月18日(土) 〜 24日(金) 15:30〜 一日1回上映


5月18日(土)初日上映後 福間健二監督と主演の小原早織さん(予定)舞台挨拶
※ 予定しておりました主演の小原早織さんは、都合により登壇できなくなりました。

入場料金
前売券 1200円   当日:一般 1700円 学生 1400円 シニア1000円
詩集割引:お手持ちの詩集ご提示で、当日料金より200円割引。

各回入替制・自由席  割引駐車場あり、詳しくは劇場まで。

前売券取り扱い場所 [4月27日(土)より発売開始]
・劇場窓口
・高崎市役所地下売店スイートピー
・戸田書店高崎店
・戸田書店前橋本店
・煥乎堂本店(前橋)
・戸田書店伊勢崎店


福間健二監督による「詩の朗読会」

17:30 スタート(舞台挨拶後、入場入れ替えにて。約1時間)
参加費:1000円(お茶付き)
朗読会のみの参加も可。

・お客様の入場方法について、
事前予約制
事前予約受付(劇場受付または電話 027-325-1744)
5月1日(水)より会員先行受付開始
5月3日(金・祝)より一般受付開始

映画+朗読会 セットで事前予約された方は200円割引
例)一般1700円+1000円→2700円のところ、2500円
  会員1200円+1000円→2200円のところ、2000円
 *映画の詩集割引との重複はありません。



シネマテークたかさき
高崎市あら町60ー1
tel. 027-325-1744
fax. 027-326-1311
http://takasaki-cc.jp/top





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